ことばは人を育て、未来をきりひらく知の源です。三省堂はことばをみつめて135年 サイトマップお問い合わせプライバシーポリシー
三省堂 SANSEIDOトップページ 三省堂WebShop辞書総合サイト Wrod-Wise Web教科書総合サイト ことばと教科
辞書教科書電子出版六法・法律書一般書参考書教材オンラインサービス
書名検索漢字かな著者名検索漢字かな詳細検索
新刊・近刊案内
メディアでの紹介
本の注文
書店様専用
大学向けテキスト
卒業記念
名入れ辞書
品切れのご案内
「ぶっくれっと」アーカイブ
会社案内
採用情報
謹告
三省堂印刷
三省堂書店へ
三省堂書店はこちら
声に出して読めない日本語。
「ほぼ日刊イトイ新聞」
(『大辞林』タイアップ・サイト)
  自殺したらあかん! 東尋坊の ‶ちょっと待て おじさん″


自殺したらあかん! 東尋坊の ‶ちょっと待て おじさん″

茂 幸雄 著

1,600円 四六判 240頁 978-4-385-36397-4

福井・東尋坊の断崖は今、150人もの自殺をくい止めてきた〈自殺対策〉市民活動の熱い拠点。人情家「ちょっと待ておじさん」茂さんの体当たりの日々と、生還した人たちの人生ドラマ。また応援する数十人からの〈命のメッセージ〉を収録。

2008年12月15日 発行

TV朝日『報道発ドキュメンタリ宣言』で放映!
  →ダイジェスト動画放映中!

   11月17日放送分:「東尋坊 命の番人」

目 次   はじめに   著者紹介など



目   次

はじめに    1

第1章 150人の命よ、再び ── 東尋坊での奮闘の日々

    • 日本の自殺は?    10
    • 東尋坊における自殺の経過    11
    • 警察官だった時に出会った老夫婦の結末    13

第2章 地元の警察官から自殺防止のNPO活動へ

    • 初めて知った東尋坊の自殺の現状    24
    • 或る歓迎会の席上で    27
    • 着任して最初に取組んだ対策    30
    • 毎朝のパトロール    31
    • 夕方の散歩 ── 妻からの電話    32
    • 意外な事実が判明    34
    • 自殺行為は犯罪でしょうか?    35
    • 警察生活最後の取り組み    38
    • 退官挨拶    43

第3章 自殺防止の現場を歩いてきて見えてきたもの ── 自殺する人とは?救うための方法とは?

    • 東尋坊で遭遇した自殺企図者の訴え    48
    • 自殺企図者の性格    49
    • 「机上論」とは全く違う現実があります    50
    • 自殺企図者の叫び声    52
    • ●福井県・東尋坊での自殺の現状 <表>    59
    • ●2008年に東尋坊で自殺を引き止めた人たち <一覧>    60

第4章 東尋坊にはドラマがいっぱい! ── それぞれの人生模様

    • ●隣のおじさん  中学3年 齊川詩織    70
  • 1 その元気は、何処にあったの……?    76
    • 長野県出身宮本さん(仮名) 33歳との遭遇    78
    • 群馬県出身金剛さん(仮名) 36歳との遭遇    81
    • 福井県内在住館山さん(仮名) 38歳との遭遇    84
    • 福井県内在住西郷さん(仮名) 34歳との遭遇    86
    • 感想、その後    88
  • 2 お前が母さんを殺したんや……!    90
    • 妻・母との別れ    92
    • 死んだつもりで    94
    • 再出発    95
    • 一本の電話    99
    • 命を繋ぐ    100
  • 3 ある家庭と自殺未遂、そしてその後    101
    • 何処から来られましたか?    101
    • 身の上話、そして説得    105
    • 自殺未遂    109
    • 再びの訴え    114

第5章 自殺したらあかん! 全国からの命のメッセージ

    • あなたへ  水野よう子    118
    • 16で逝ったメグへ  お姉ち?     120
    • 24歳のままの君へ  50歳のままの母より    122
    • 生まれ変わりの春を迎えて  菜の花    124
    • 猫と命  S・H    128
    • 心の持ち方次第で天国にも地獄にも  長谷川回    130
    • 東尋坊の活動のお手伝いをさせて下さい  佐藤よりこ    132
    • 父の自殺を止めた声  尚胡    135
    • 高校1年生の時に、同じクラスの女の子が……  西田秀子    139
    • 死と生の狭間  大企業のちっぽけな一人    141
    • 生きてさえいれば  大川孝次    149
    • 笑顔で生きる  山本順子    155
    • うつ病 ── でも、生きていて良かった 小林    159
    • あなたに ── 自死遺族から  稲垣    162
    • すぐに答えが出なくても負けないで  大橋美喜子    164
    • 茂さんの講演会を聴いて ── 中学生たちの声  福井県上志比中学校    166
    • いじめを受けていた頃  可憐美瞳    169
    • 若者よ死に急がないで  桜井高子    175
    • 負けない心  山本らつ    178
    • 自殺したらあかん! ……とは思わないけど  佐藤由実子    182
    • 息子を失って  鶴田やえ子    187
    • あなたのそばに  山本裕美(高校生)    191
    • 愚痴をこぼしながら1年でも長く生きようね  田中幸子    193
    • 母からのひとこと  山下静枝    196
    • 私は自殺志願者でした  のぞみ    199
    • この想いがあなたに届きますように  みう    202
    • 命の重さ ── 身近に起きた自死  齊藤勲    206
    • 聴かせてください  山下美幸    208
    • 拝啓 藤山直美様  宮本信子    210
    • 僕は自殺未遂者です  天道遥    215
    • シゲジイのおろしもち  浅草 川上宗勇    219

あとがき    225


はじめに

福井県の東尋坊にある私たちの活動の拠点は「心に響く おろしもち」という茶屋です。
訪れた人からは次のような質問をされます。

ここでは、どんな活動をしているんですか?

え〜っとね、私にとってはボケ防止活動ですよ。 自分のボケを防止するために、東尋坊を目ざして全国からやって来ている多くの自殺企図者に話しかけて元気を取り戻してもらう自殺防止活動のまね事をしています。

へーえ……。それは大変な事をしているんですね。自殺しようとしている人に声をかけるなんて、怖くないですか?

何故、怖いんですか……?
岩場の最先端に座って、ジーッと海を見ている人は、誰か「自殺したらあかん!」と言ってくれる人を待っているんですよ。だから、ぜんぜん怖くなんかないですよ…。むしろ、旧友に会ったような感じで、楽しい気分になりますよ。
「友、遠方より来る、また楽しからずや……」といった感じですよ。

岩場に座っている人を見つけたら、最初、どんな言葉をかけるんですか?

ごく普通の挨拶言葉です。

せっかく旧友と会ったのですから、
  こんにちは…!
  どちらから来られましたか?
  ここまで来るの、大変でしたでしょ?
  途中で、渋滞に巻き込まれませんでしたか?
  何時ごろに、ここに着きました?
  日本海の海はね、一見穏やかに見えますが、いったん海が狂い出すともの凄いんですよ…
  あの高い岸壁が波に飲み込まれてしまうんですよ…!
  しかし、いったん荒れが治まると、何事も無かったように平穏な姿に戻るんです。
  ところで、今日はこの後どうされますか?
  「宿」は取ってありますか?
などと話しかけます。

するとね、こんなごく普通の声掛けであっても、自殺を考えて来た人は、すぐに涙ぐんでしまうんです。 突然、見ず知らずの人から声を掛けられると、心のうちを見透かされたような感じがするみたいですね。

そんな時、すかさず、
  「今日まで、苦しかったんでしょ……」
と言って、慰めの言葉を掛けてあげるんです。

すると、
   もう良いんです……
   私はどうなっても良いんです……
と言って、その場を離れようとします。

しかし、
  一寸待って下さい!
  私が、何とかその苦しみを取り除いてあげましょう!
  この世で、解決できない苦しみなんてないと思いますが……
  私は今日まで、いろんな人の悩み事を聞いてきましたが、今まで1件も解決できなかった悩み事はなかったよ!
  あなたは、何処のどちら様か知りませんが、私に、あなたのその命を預けてくれませんか?
  独りで悩んでいたらダメですよ!
  「三人寄れば文殊の知恵」とか言いますが……、
  住所や、名前なんか言わなくて良いです。
  最後に、あなたのその苦しみを私に話してから死んでも遅くないでしょ!
と言うと、ボツボツと自分の苦しい立場を話し出します。

人によっては、延々と自分が生まれたときから現在に至るまでの不幸な生い立ちを話し出す人もおり、私たちに同情を得ようとする人もいます。

東尋坊まで来る人の多くは、五体満足の人たちばかりです。
一見、一人旅をしている観光客のように装っていますが、よくよく見ますと肩を落としており、視線が定まらず、どことなくビクビクしている感じがします。

しかし、そんな人であっても、話しだすと苦しかった自分の立場を主張し出します。

しかし、
   何ですか、そんな小さい事で悩んで……
   そんな事は、日常茶飯にあるでき事ではないですか……?
といって相手をけなす言葉を言うと、ムッとした態度を取り
   誰も、私の苦しみを分かる人はいないし、解決できる人もいないって……!
と、反論しますが、
   大丈夫ですよ!
   私達で何とかできると思いますよ……!
と、はっきりと言うと、心の何処かで「ひょっとすると頼れる人かもしれない」と思う心が芽生えるのか、その解決策に耳を傾けてきます。

多重債務、うつ病などの心の病気、生活苦、人間関係の破綻など、多種多様の悩み事を話してきますが、私たちはそんな悩み事全てを解決してあげるのです。

その解決方法は、その人の悩み事を自分のものとして受け取り、その人と共に歩いてあげるセコンド役を務めてあげることにより全ての問題が解決するのです。

何故なら、関係者に、
  この人は、この問題で先程東尋坊の岩場の岸壁に立ち、いま正に命を落とそうとしていたんですよ!
と第三者の中立の立場で相手に訴えると、その人の周辺にいる人たち皆さんが理解を示し、解決に向って動いてくれるからです。
私たちがやっている活動の内容は、うっとうしくて煩わしい事柄についてのお節介焼き役ですが、誰もが驚いて我に返り、その人の悩み事の解決に耳を貸してくれており、今のところ耳を貸さない人は一人もいませんでした。

周辺者は誰もが「ひよっとすると……」との思いを持っている人たちであり、今まで、そんな人には関わりたくない……との思いから見て見ぬ振りをして逃げていたからです。

私たちが第三者の立場からはっきりと、「この人は先程、自殺するために岩場に立っていたんですよ!」と言うと、もう「知らなかった」と言って逃げ出す事ができなくなるのです。

この告知行為は、「延命措置」のパイプを取り外す “殺人行為” に匹敵し、自らの手で施すことになる「自責の念」に対して、その心をくすぐるのです。

そのことにより、その人の周辺者が真正面から向き合うようになるのであり、死に追い詰めている社会的責任を言及することにより、尊い命を助けることができるのです。

 

2008年11月

茂 幸雄

 

著者紹介など

<著者略歴>

茂 幸雄(しげ ゆきお)

 福井県福井市で1944年2月に出生  NPO法人「心に響く文集・編集局」代表理事
 行政書士、剣道二段、柔道三段、アマ囲碁四段

■ 活動内容

越前加賀海岸国定公園内にある福井県・東尋坊では、年間130人以上の人が全国から終焉の場として集ってきており、過去30年間に640人以上、ここ10年間に257人が飛び込み自殺をして亡くなっています。この現状を愁い、2004年4月にNPO法人を立ち上げ、現在会員71人と共に本日(2008年10月15日現在)までに158人の自殺企図者と水際で遭遇し、人生再出発のための各種支援活動をしてきています。

■経歴

1962年10月 福井県警察官を拝命
2004年 3 月 警視(三国警察署副署長)で定年退職
在職42年間のうち約27年間を生活経済事犯(サラ金、マルチ商法、薬物事犯、風俗事犯、福祉事犯、少年事件、DV等)の捜査に従事

■役職

 自殺・ストレス防止対策協議会委員、民生・児童委員、包括支援センター相談委員

■受賞

 毎日新聞社会事業団「毎日社会福祉顕彰」
(財)あしたの日本を創る協会「振興奨励賞」
関西・経営と心の会主催「心の賞」

■主な著書

「心に響く文集〜勝たなくてもいい 負けたらあかん!」(自費出版) 、 「東尋坊〜命の灯台」 (太陽出版社)

NPO法人「心に響く文集・編集局」の活動内容

 

2004年4月に特定非営利活動法人「心に響く文集・編集局」を設立し、越前加賀海岸国定公園内にある福井県・東尋坊の水際に茶屋「心に響くおろしもち」(私設相談所)を開設、ここを活動拠点として東尋坊の岩場をパトロールしてそこで遭遇する自殺企図者から悩み事をお聞きし、その人の問題を解決するためのお手伝いであるセコンド役を務めるなどの自殺防止活動をしています。
 この外に、自殺をしたいほどの大きな悩みを持っている人に、これを克服した経験者や体験者、知識人などから贈る作文を募集して“生きる”勇気を持ってもらうための「心に響く文集」を発行したり、出張講演、お餅の製造・販売などを行っています。

<写真協力>

中田浩資・関山敦子

このページのトップへ