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佐々木康人 監修、青木幸昌・中川恵一 著 1,680(1,600)円 四六 232頁 4-385-35544-4 (品切) 放射線治療を受ける前の不安を、全て解き明かしてくれるやさしく書かれたQ&Aガイド。どんながんに効果があるのか? 副作用は? 治療中の注意事項は? 吐き気や食欲不振の対策は? 1993年12月10日初版の、最新治療を盛り込んだ新版。 2000年 7月 20日 発行
●まえがき ウィルヘルム・レントゲンが、謎の光、X線を発見したのは1895年11月でした。写真乾板の上に置いた妻の手にX線をあてて撮った写真が残っています。そこには、手の骨と結婚指輪だけが写っています。皮膚や筋肉など軟らかい組織はX線が通り抜けてしまい、陰影を作らなかったのです。間もなくこの透過性の強いX線は、目では見えない身体内部の構造を観察するのに使われるようになりましたが、一方、病気の治療にも用いられました。がん、結核、激しい痛みを伴う炎症、毛の密生していたあざなどにX線があてられました。そして、X線照射を受けた皮膚にやけどのような強い反応が起こることも知られるようになりました。 レントゲンのX線発見に刺激されたアンリ・ベクレルが、太陽にあてると光を出す蛍光物質はX線をも発生するにちがいないと考えて実験を重ねた結果、ウラン鉱石が透過放射線を発生していることを発見したのが、1896年3月のことです。この現象は後に、マリー・キューリによって放射能と名付けられました。精力的に放射能の研究を続けたマリー・キューリは、夫ピエールの協力を得て、1902年にラジウムという放射性同位元素を分離しました。以後ラジウムは放射線治療の主要な武器となりました。 一方、X線発生装置も改良されるにつれて、照射するX線量の調節が容易になると、X線治療も盛んになり、一時は、その対象となる病名が百近くあげられると言われましたが今日では主としてがん治療に用いられます。このようにしてX線と放射性同位元素による放射線治療が始まり、百余年になります。 この間に装置の面でも、放射線の生物に対する効果・影響の面でも研究が進み、効果的で安全な放射線治療法が確立しています。特に近年は悪性腫瘍による死亡率が高くなっているので、放射線治療を受ける患者さんも増えています。今日、がんの治療は、外科手術、薬による化学療法、放射線治療及び温熱療法を適宜組み合わせて総合的に行われています。外科学、内科学、放射線治療学などの異なる分野の専門家が、それぞれの特技を駆使しながら、協力して行うがんの治療は集学的治療と呼ばれています。 放射線、原子力、核という言葉は原子爆弾を想像させ、恐怖感を人々に抱かせることが多いのが現状です。事実、放射線は病気を治す力と共に正常組織に障害を与える作用をもつ両刃の剣です。放射線治療の歴史は、病巣を破壊する効果を最大限に発揮しながら、健康な部位にあたる放射線を最小限にとどめるための工夫と研究に終始してきたといえます。そのための努力は今日も続けられています。現在では、放射線治療及びそれと温熱療法の組み合わせは、適切な対象を選べば、極めて治療効果が高く、かつ極めて安全な治療法となっています。 本書は、がんに対する放射線治療の実態を、患者さんやその家族の方、及びがんの治療法に関心のある方達にわかり易く解説したものです。執筆者は放射線治療に日夜献身している専門医です。日常診療の場で、患者さんや家族の方から度々問われる質問に答える形で本書は書かれています。医療は全ての人々の日常生活に密着した事柄ではありますが、その専門的内容を一般の方々に理解し易く述べることは実は極めて難しいものです。専門用語は極力避けていますが、やむをえず用いる時には巻末に解説が付してあります。 1993年に本書を出版して以来7年間にがんの放射線治療にいくつもの技術的進歩がみられます。また、患者さんと医療者との関係にも大きな変化がみとめられます。医療のあり方全体が変貌しつつあることと、患者さんの意識の変化が相まって起こった結果といえましょう。中でも進行がんも含めがん告知の頻度は急速に増加しつつあります。それに伴って緩和ケア、緩和医療の実践が可能となり普及してきました。〈新版〉では最近の放射線治療の進歩を盛り込み、全面的な見直しを行いました。また、部位別がん治療の実際を実例をあげてわかりやすく解説しました。さらに「放射線治療と緩和医療」の章を新たに加えました。 本書が、がんの放射線治療に対する不安を和らげる一助となれば幸いです。また、放射線治療になじみのうすい医療従事者に放射線治療を理解して頂くのにも役立つと信じます。最後になりましたが、本書の企画を推進し、執筆者を励まして下さった三省堂出版部の中野園子氏に感謝の意を表します。 2000年7月 佐々木 康人 ●目 次 「新版 放射線をかけると言われたら」に寄せて−まえがき7 【1章】放射線治療は不安でいっぱい?9 Q1主治医から放射線で焼くと言われました。とても不安です。10
【2章】放射線治療と副作用を正しく知る69 Q1放射線治療には副作用がつきものと聞きましたが?70
【3章】病気ごとに違う放射線治療111 〈1〉脳腫瘍112 ■症例■脳腫瘍/T夫さんの場合■115 〈2〉顔と首の腫瘍116 〈3〉肺がん118 ■症例■肺がん/N子さんの場合■119 〈4〉食道がん120 〈5〉乳がん120 [1]乳房切断術と術後放射線治療 [2]乳房温存療法 ■症例■乳がん/Kさんの場合■123 〈6〉胃がん124 〈7〉胆嚢がん、胆管がん、膵がん124 〈8〉直腸がん125 ■症例■直腸がん/I郎さんの場合■126 〈9〉子宮がん126 [1]子宮頚がん [2]子宮体がん ■症例■子宮がん/H子さんの場合■128 〈10〉泌尿器のがん129 〈11〉悪性リンパ腫130 [1]ホジキンリンパ腫 [2]非ホジキンリンパ腫 ■症例■悪性リンパ腫/A彦さんの場合■132 【4章】放射線治療の新しい話題133 〈1〉乳房温存療法は女性の味方134 〈2〉インフォームドコンセントと放射線治療140 〈3〉定位的照射・ガンマナイフのことを教えてください。145 〈4〉重粒子線治療や陽子線も放射線治療の一種と聞きましたが。148 【5章】放射線治療と緩和医療153 【6章】放射線治療を詳しく知る167 Q1放射線ってなんですか?168
【7章】放射線に関する疑問にお答えします189 Q1核医学検査とはなんですか?190
[巻末] 注・用語解説204 放射線治療の主な専門病院210 |