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  ホトトギス 虚子と100人の名句集


表紙の写真

稲畑汀子 編著   (品切)

1,600円 B6変 308頁 978-4-385-36184-0

108年の歴史を誇る伝統句誌「ホトトギス」の名句を結集。虚子と俳人百人の魅力ある五千余句が一望できる。「虚子時代」「年尾時代」「汀子時代」の三部構成。補遺「ホトトギス山脈の人たち」も圧巻。

2004年3月20日 発行

目次・参考文献 ホトトギス山脈の人たち(一部) 見本ページ



●目  次


まえがき  1
髙濱 虚子 4

第一部 虚子時代
     (1897〜1950) 
解説     14
村上 鬼城  16
皿井 旭川  18
西山 泊雲  20
岩木 躑躅  26
鈴木 花蓑  24
野村 泊月  28
前田 普羅  30
富安 風生  32
飯田 蛇笏  34
長谷川零余子 36
原  石鼎  38
石島雉子郎  40
原  月舟  42
池内たけし  44
水原秋桜子  46
山口 青邨  48
高野 素十  50
島村はじめ  54
後藤 夜半  56
岡田 耿陽  58
川端 茅舎  60
阿波野青畝  64
五十嵐播水  68
中村 汀女  70
山口 誓子  72
皆吉 爽雨  74
深川正一郎  76
星野 立子  78
大久保橙青  82
松本たかし  84
池内友次郎  88
長谷川素逝  90
京極 杞陽  92
伊藤 柏翠  96
村松 紅花  98

第二部 年尾時代
     (1951〜1978) 
解説     102
髙濱 年尾  104
鈴木洋々子  110
吉良比呂武  112
保田白帆子  116
青葉三角草  118
国弘 賢治  122
桑田 青虎  124
後藤比奈夫  128
野見山朱鳥  132
上野  泰  134
嶋田 一歩  138
藤松 遊子  142
高田風人子  144
松尾 緑富  146
嶋田摩耶子  150
依田 明倫  154
第三部 汀子時代
     (1979〜) 
解説     160
稲畑 汀子  162
田畑美穗女  168
浅井靑陽子  172
粟津松彩子  174
滝  青佳  178
藤崎 久を  180
上崎 暮潮  184
坊城としあつ 186
竹下 陶子  188
牧野 春駒  190
千原 草之  192
小島 左京  194
吉年 虹二  196
山内 山彦  198
  告冬   200
辻口 静夫  202
蔦  三郎  204
井上 哲王  206
吉村ひさ志  208
今井千鶴子  210
髙橋 笛美  212
藤浦 昭代  214
岩垣 子鹿  216
千原 叡子  218
大久保白村  220
星野  椿  222
奥田 智久  224
堀  恭子  226
佐土井智津子 228
安原  葉  230
橋田 憲明  232
山田 弘子  234
中杉 隆世  236
河野 美奇  238
稲岡  長  240
川口 子   244
長山 あや  246
水田むつみ  248
後藤 立夫  250
山田 閏子  252
湯川  雅  254
坂井  建  256
黒川 悦子  258
岡田 順子  260
岩岡 中正  262
三村 純也  264
今橋眞理子  266
稲畑廣太郎  268
坊城 俊樹  270
ホトトギス山脈の人たち  272
人名索引  301
第一・二・三部解説 深見けん二

参考文献

(1) 「ホトトギス雑詠史概要」 深見けん二 「ホトトギス」 ◎平成6年3月号 (創設〜大正10年) 9月号 (大正11年〜昭和6年) 平成7年1月号 (昭和7年〜16年) 6月号 (昭和17年〜25年) =虚子選◎平成7年10月号 (昭和26年〜34年) 平成8年2月号 (昭和35年〜43年) 6月号 (昭和44年〜52年) =年尾選◎平成8年9月号 (昭和53年〜62年) 12月号 (昭和63年〜平成8年) =汀子選
(2) 『よみものホトトギス百年史』 稲畑汀子編著 (平成8年12月刊)
(3) 俳句文庫 『稲畑汀子』 (平成3年12月刊)
(4) 『TEIKO』 蛭田有一フォト・インタビュー集 (平成15年11月刊)



●ホトトギス山脈の人たち(一部)

一世紀以上の歴史をもつ 「ホトトギス」。
そこには、 多彩な作家が集い、
高くて裾野の広い、
花鳥諷詠の一大山脈を築いた。
そのホトトギス山脈の中から、
選定方法の関係で、
本編の百人にとりあげられなかった
主要作家やユニークな作家、
いま活躍中の作家の一部を紹介する。

進むべき俳句の道 大正4年、 虚子は 「ホトトギス」 で、 俊英作家の作品をとりあげ、 「進むべき俳句の道」 を示した。

 渡辺水巴 (わたなべ・すいは) 明治15年 昭和21年 虚子は 「自然物をあたかも生物の如く見た」 と評した。 父は花鳥画の大家。

  女の子交りて淋し椎拾ふ
  草山を又一人越す日傘かな
  落葉して汝も臼になる木かな
  櫛買へば簪かざしが媚こびる夜寒かな
  窓に月のありけり雛は既に知る
  日輪を送りて月の牡丹かな
  白う咲きてきのふ今日なき蓮かな
  大涛に沈む日も見ず田打かな

 清原枴童 (きよはら・かいどう) 明治15年 昭和23年 福岡県生まれ。 「自由さをもった技巧」 を虚子が称賛。 昭和5年、 朝鮮半島に渡る。 「木犀」 を発行。

  土砂降りの夜の梁うつばりの燕かな
  風呂沸くやしんと日あたる松の花
  露の世に海女の焚く火のうつくしく
  春水に塵捨てゝ住む二三軒
  もとよりも淋しき命水中あたり
  とめどなく咳せきつゝ甕かめを洗ひをり
  肌脱ぎの肋あばらも老いて傘を張る
  木の実落つ月光曳ひいてあまたゝび
  忘れられてしづかに紅き金魚かな

 長谷川かな女 (はせがわ・かなじょ) 明治20年 昭和44年 夫・零余子ともども 「進むべき俳句の道」 にとりあげられた。 婦人俳句会で活躍。

  切きれ凧だこの敵地へ落ちて鳴りやまず
  羽子板の重きが嬉し突かで立つ
  蚊帳くゞるやこうがいぬきて髪淋し
  空壕に響きて椎の降りにけり
  戸にあたる宿なし犬や夜寒き
  湯がへりを東菊買うて行く妓かな
  戸を搏うつて落ちし簾すだれや初嵐
  呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉
  髪かいて額まろさや天てん瓜か粉ふん

女性俳句隆盛の先がけ 虚子の提唱で大正2年、 長谷川かな女らを中心に婦人十句集 (後に婦人俳句会) が始まるなど、 「ホトトギス」 は早くから女性の俳句に力を入れた。

 阿部みどり女 (あべ・みどりじょ) 明治19年 昭和55年 札幌生まれ。 婦人俳句会に参加。 「写生」 体得のためデッサンを習い、 春陽会展の入選歴も。 「駒草」 創刊・主宰。 蛇笏賞受賞。

  朝顔に雨戸すかして二度寝かや
  寒菊にいぢけて居ればきりもなし
  苗床や風に解けたるかむり
  ざらざらと櫛にありけり花ぼこり
  大風によろめきながら汐干狩
  来客やしまひおくれし籠かご 枕まくら
  端渓の硯すずりの海に雷近し
  日向ぼこ何やら心せかれゐる
  玄関に厨くりやにさとき風邪の耳

 本田あふひ (ほんだ・あおい) 明治8年 昭和14年 東京生まれ。 婦人俳句会の主要メンバー。 男爵夫人で謡曲にも堪能。

  しぐるゝや灯待たるゝ能舞台
  恋猫の夜毎泥置く小縁かな
  手に当る虻あぶ流れ行く春の風
  水盤をめぐりて猫の水鏡
  げぢの足をこぼして逃げにけり
  屠と蘇そつげよ菊の御紋のうかむまで
  蟇ひきがえる年々同じ下闇に
  がゞんぼのかなしと夜の障子

 今井つる女 (いまい・つるじょ) 明治30年 平成4年 松山市生まれ。 虚子の姪で婦人俳句会に参加。 従妹(いとこ)星野立子の 「玉藻」 を助けた。

  片づけて子と遊びけり針供養
  ぬくもりし助炭の上の置手紙
  窓の前幹ばかりなる夏木かな
  渦潮にふれては消ゆる春の雪
  板の間に映り止まる手毬かな
  虫の音のたかまりくれば月出でん
  空ばかりみてゐる子抱き夕涼み
  赤蜻蛉ひたと伏せたる影の上
  年々の虚子忌は花の絵巻物
  嵩かさもなく病人眠る秋の
  長き夜のわが生涯をかへりみる

 竹下しづの女 (たけした・しずのじょ) 明治20年 昭和26年 福岡県生まれ。 吉岡禅寺洞について俳句を始めた。 学生俳句連盟の機関誌 「成層圏」 を創刊、 中村草田男とともに、 学生を指導した。 戦後は九大俳句会を指導。

  短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎すてっちまおか
  手袋とるや指輪の玉のうすぐもり
  緑蔭や矢を獲ては鳴る白き的
  春の貝深海の譜をひそと秘む
  春服や青緑のペン胸にあり
  翡かわ翠せみの飛ばぬゆゑ吾もあゆまざる
  征く吾子に月明の茄な子すもぎ炊かしぐ
  吾子召さるあたかも望の隈なきに

名誉回復 昭和11年、 「ホトトギス」 に、 同人三人除籍の社告が載った。

 日野草城 (ひの・そうじょう) 明治34年 昭和31年 京大三高俳句会の創設メンバー。 新興俳句に進み、 「旗艦」 創刊。 晩年に同人復籍。

  遠野火や寂しき友と手をつなぐ
  妻も覚めてすこし話や夜半の春
  既にして夜桜となる篝かがりかな
  心ところ 太てん煙のごとく沈みをり
  蚊か遣やり火びの煙の末をながめけり
  粕汁に酔ひし瞼や庵の妻
  冬椿乏しき花を落しけり

 吉岡禅寺洞 (よしおか・ぜんじどう) 明治22年 昭和36年 福岡県生まれ。 九大俳句会を指導。 「天の川」 の選者として無季欄を設けた。 除籍とはなったが、 「ホトトギス」 ゆかりの作家として、 芦屋の虚子記念文学館には、 「青空に青海湛へて貝殻伏しぬ」 の俳磚 (はいせん) が掲げられた。

  雹ひょう降りし桑の信濃に入りにけり
  ひたすらに精霊舟のすゝみけり
  露草の瑠璃をとばしぬ鎌試し
  ちぬ釣やまくらがりなるほお 被かむり
  歩きつゝ草矢とばしぬ秋の風
  春光や遠まなざしの矢大臣
  女房の江戸絵顔なり種物屋
  古園や根分菖蒲に日高し

 杉田久女 (すぎた・ひさじょ) 明治23年 昭和21年 在京中、 婦人俳句会に参加、 後、 福岡に住み、 情熱的に句作。 「花衣」 を創刊。 除籍のまま、 逆境の中で病死したが、 虚子記念文学館に 「谺して山ほとゝぎすほしいまゝ」 の俳磚が掲げられた。

  花衣ぬぐやまつはる紐ひもいろ
  茄な子すもぐや日を照りかへす櫛のみね
  足袋つぐやノラともならず教師妻
  炊きあげてうすきみどりや嫁菜飯
  身にまとふ黒きショールも古りにけり
  無む憂ゆう華げの木蔭はいづこ仏生会
  むれおちて楊貴妃桜尚あせず
  羅うすものに衣そ通る月の肌はだえかな
  草の戸に住むうれしさよわかなつみ
  うらゝかや斎いつき祀まつれる瓊たまの帯
  春惜しむ納な蘇そ利りの面ンは青あお丹にさび
  防人さきもりの妻恋ふ歌や磯菜つむ

笹子たち  「ホトトギス」 には、 九羊会 (昭和15年)、 新人会 (22年)、 笹子会 (27年)、 春菜会など、 若手の会ができ、 虚子が直接指導した。

 中村草田男 (なかむら・くさたお) 明治34年 昭和58年 中国生まれ。 東大俳句会、 九羊会に所属。 4S以後の新人として活躍。 「萬緑の 」 の名句により、 万緑が新たな季題となった。 46年 「萬緑」 創刊・主宰。

  蟾ひき 蜍がえる長子家去る由もなし
  降る雪や明治は遠くなりにけり
  香水の香ぞ鉄壁をなせりけり
  一ト飛びにいとゞは闇へ帰りけり
  はま塊なすや今も沖には未来あり
  飛び溜る燕の声を打あふぎ
  春草は足の短き犬に萌ゆ
  ひた急ぐ犬にあひけり木の芽道
  秋の航一大紺円盤の中
  咽むせぶ他郷信濃の古城址に
  金魚手向けん肉屋の鉤に彼奴を吊り
  萬緑の中や吾子の歯生え初むる

 福田蓼汀 (ふくだ・りょうてい) 明治38年 昭和63年 山口県出身。 東大俳句会、 九羊会所属。 山岳俳句が得意。 「山火」 主宰。 昭和44年、 次男が奥黒部で遭難死。 「秋雲一片遺されし父何を為さん」 などの絶唱 「秋風挽歌」 で蛇笏賞。

  あす越ゆる天城山あり狩の宿
  落椿呑まんと渦の来ては去る
  夕顔の咲きては減りて月も欠け
  新涼の画を見る女画の女
  真夜の岳銀河流るゝ音を聴け
  凍傷の手もて岳友に花捧ぐ
  冬の山跫音熄やめば我もなし
  ががんぼも病臥の我も閉ぢこめられ

 深見けん二 (ふかみ・けんじ) 大正11年、 福島県生まれ。 戦後、 清崎敏郎らと、 ホトトギス新人会を結成した、 虚子直門最後の若手の一人。 平成3年、 「花鳥来」 創刊・主宰。

  浅間嶺へ夕立雲の風立ち
  青林檎旅情慰むべくもなく
  小走りの尼に蜥  と か げ蜴のきらとはね
  父のこと心に梅雨の傘をもち
  金魚また留守の心に浮いてをり
  別荘に表札打てばほとゝぎす
  庭掃除とゞき芒すすきの乱るゝも
  初富士の暮るゝに間あり街灯る
  年迫る追はるゝことは何時も何時も
  蜜柑むき人の心を考へる



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