現代中国語総説

現代中国語総説

北京大学中国語言文学系現代漢語教研室 編/監訳 松岡榮志、古川裕

4,500円 A5 456頁 978-4-385-36164-X (品切)

中国で最も定評ある現代中国語の解説書『現代漢語』2004年版の邦訳。北京大学の専門家が中国語を様々な角度(音声・文字・語彙・文法)から分析。中国語を学ぶ学生・院生、中国語の先生・研究者必携の書。

2004年6月10日 発行

 2004年重排本説明
 監訳者紹介
 前  言
 目  次
 凡  例
 あとがき



●2004年重排本説明

 『現代漢語』は、1993年に出版されてすでに10年になる。この教材は、朱徳煕、林壽の両先生が主編者となり、1958年、62年の旧テキストを基礎として修訂・改編したものである。これらから数えれば、本書はすでに45年の歴史を有するということになる。93年版『現代漢語』は、出版以来、学界や多くの研究者の支持を得、すでに六刷に至った。1996年度の教材としては国家教育委員会第三回優秀教材コンクールの一等賞を受け、1997年度教材としては、現代漢語教研室のその他のカリキュラム策定の成果とともに、中華人民共和国国家教育委員会授与の第一回普通高等学校〔総合大学、単科大学などの高等教育機関をさす〕国家級教育成果一等賞を受けた。こうした栄誉は、私たちの努力の継続に対する激励であり鞭撻であると私たちは自らに言いきかせてきた。

 80年代以来、言語や文字の研究はそれぞれの研究領域において、めざましい成績をあげてきた。その成果は、まさにおびただしく、目もくらまんばかりである。だが、これらの成果の中から、その精粋を選び出し、それを吸収し、基礎教育の教材にうまく生かしていくことは、なお時間を要するものである。しかしながら、いったん条件が熟したならば、我々は必ずや新たな出発点にたち、全力で立ち向かい、教材内容に対して重要かつ大規模な修訂と改編を行うつもりである。

 今回の重排本刊行にあたっては、我々はなお従来の枠組みを維持しつつも、それぞれの章や節について、すべての内容をチェックし、文字の誤り、行間の疎漏、説明の齟齬、不適切な例示など、気が付いた問題点をすべて漏らさず修正した。補訂した部分は、全部で400カ所余り、200ページ余りに及ぶ。巻末付録の「標点符号用法〔句読点・かっこなどの用法〕」も新しい内容にすっかり取り替えた。すなわち、私たちの不注意が読者にマイナスの影響を及ぼすことを極力減らしたいと願ったからである。

 今回の重排本刊行の重要な原因の一つは、日本の三省堂が商務印書館と協議し、本書の日本語版を発行するに至ったことによる。思えば1958年版の『現代漢語』も、日本でまず翻訳・出版された。この1993年版『現代漢語』が日本で翻訳・出版され、同じく多くの方がたから温かい歓迎を受けんことを、切に願う次第である。

  2003年7月

北京大学中国語言文学系現代漢語教研室

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●監訳者紹介

松岡榮志(まつおか・えいじ)

1951年浜松市生まれ。東京教育大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程を経て、現在東京学芸大学教授。専攻は中国古典文学、中国語学。
著書に『歴史書の文体』(樹花舎)、共著に『クラウン中日辞典』(主幹、三省堂)、『日本の漢字・中国の漢字』『ユニコード漢字情報辞典』(ともに三省堂)、『漢字とコンピュータ』(大修館書店)、編訳書に『中国学レファレンス事典』『ことばと社会生活』『ことばの社会機能』(いずれも凱風社)、『現代中国漢字学講義』『料理の国へようこそ』(ともに三省堂)などがある。

古川 裕(ふるかわ・ゆたか)

1959年京都市生まれ。大阪外国語大学中国語学科、東京大学文学部卒業。東京大学大学院修士課程修了後、北京大学中文系に留学、朱徳煕教授、陸倹明教授に師事。現在、大阪外国語大学助教授。2003年春から北京大学漢語語言学研究中心兼任研究員。専攻は中国語学(現代中国語の認知文法)、中国語教育。
主な著書に『チャイニーズ・プライマー』(東方書店)、『ヒアリング・チャイナナウ』(大阪外国語大学)、『HSK対策』(アルク)、『白水社中国語辞典』(共編、白水社)などがある。

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●前 言

 1958年、我々は『現代中国語』(《現代漢語》)というテキストを出版した。それは上・中・下の全三冊からなり、内容は音声、文字、文法、語彙、修辞、作品分析の六つの部分から構成されていた。1961年には、数年にわたる教育経験の蓄積とカリキュラム改革の必要から、原著の執筆者である朱徳煕、林壽などが改編をおこなった。この結果、修辞と作品分析の部分が削られ、ほかの四つの部分についてもそれぞれ改訂が加えられ、さらに章節が若干追加された。そうして、一冊にまとめて商務印書館から出版されたのである。

 テキストが出版されると、我々のもとに多くの人々や機関から手紙が届き、数多くの貴重な意見が寄せられた。同時に、テキストのいくつかの章節の内容は、他の大学などにも注目され、それぞれ採用されたり導入されたりした。こうしたことはみな、我々に対する叱咤や激励となった。

 1977年に大学や専門学校で全国統一の生徒募集が再開されると、北京大学中文系漢語専攻の授業の必要に応じるため、我々は「現代中国語」の内容を分割して、現代中国語音韻学、現代中国語文法、現代中国語語彙の三つの独立したカリキュラムとした。1983年になると、大学の学部はあくまで専門的な人材の育成のために一定水準の基礎を作るものであり、一年生の授業があまり専門的で難しすぎるのは好ましくないという、当時の教育改革の精神にもとづき、上述の三つのカリキュラムを再び一つに合わせて「現代中国語」とした。そこで、教育上の必要に応じるため、1985年、我々は1961年版『現代中国語』をもとに、この新たなテキストの編纂に着手したのである。本書の序論、音声、語彙、文字の各章は、いずれも新たに書き直したものである。文法の部分にも多くの改訂をおこない、新たな内容も一部追加した。各章の執筆分担は以下のとおりである。

  序論、音声: 王理嘉
  語彙:    符淮青
  文字:    蘇培成
  文法:    陸倹明、馬真

 このほか、郭鋭、劉一之の両名が文法部分のすべての練習問題を作成した。本書は初稿完成後、講義用の教材として、まず北京大学で二年間試験的に使用するとともに、教研室において何度も討論を重ねた。李慶栄、楊必勝、王福堂、呉競存、侯学超、沈炯、劉寧、李小凡諸氏は、みな貴重な意見を出してくれた。初稿は改訂されたのち、さらに朱徳煕、林壽が全体に目を通してチェックし、最終稿とした。

 本書編纂の過程で、我々は数多くの論文や著書、教材を参考にさせていただいた。ここに謹んでその著者の方々に深く感謝の意を表したい。なお、我々の力が及ばないことから、本書には疎漏や不適切な箇所が必ずやあると思われる。読者諸氏の斧正ならびにお力添えを請う次第である。

北京大学中国語言文学系現代漢語教研室

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●目  次

2004年重排本説明

前言

凡例

第1章 序論

  第1節 漢民族の共通語――普通話
  第2節 中国語の主な方言の分布
  第3節 現代中国語の規範化

第2章 音声

  第1節 音声概説
  第2節 音声の性質
  第3節 母音と子音
  第4節 声母
  第5節 韻母
  第6節 声調
  第7節 共通語の音節構造
  第8節 アル化と変調
  第9節 強勢と音調
  第10節 中国語ピンインシステムと共通語の音素
  第11節 音声の規範化についての諸問題

第3章 文字

  第1節 漢字の特徴
  第2節 漢字の構造
  第3節 漢字の簡略化と整理
  第4節 漢字の量・漢字の音・漢字の配列
  第5節 漢字の未来

第4章 語彙

  第1節 単語
  第2節 単語の構造
  第3節 語義と形態素義
  第4節 多義語と同音語
  第5節 同義語・反義語・上位語と下位語
  第6節 現代中国語語彙の構成
  第7節 熟語
  第8節 辞典

第5章 文法

  第1節 文法の性質と作用
  第2節 形態素と語
  第3節 連語
  第4節 品詞
  第5節 文
  第6節 主語と述語
  第7節 動語と目的語
  第8節 動語と補語
  第9節 連体修飾語と連用修飾語
  第10節 複述構造
  第11節 文法の中の曖昧現象
  第12節 複文
  第13節 ムード
  第14節 倒置・挿入句・受け直し
  第15節 虚詞
  第16節 よくある文法の誤り
  第17節 文法的誤りをチェックする二つの方法

付録 句読点・かっこなどの用法
付録 参考文献一覧

あとがき

索引

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●凡  例

凡  例



●あとがき

 本書の原著は、「前言」にもあるように、北京大学中文系(現在の中国語言文学系。中国語中国文学の学部に当たる)の漢語専業(中国語専攻)の学生のために作られた現代中国語の概説テキストである。1958年の第一版以来、文化大革命の混乱期をはさんで45年間にわたり、改訂増補が続けられ、北京大学をはじめ中国全土の多くの大学で使われてきた。その内容は、音声・文字・語彙・文法など広範囲にわたり、まさに「総説」と呼ぶにふさわしい総合的な解説書になっている。今回の翻訳に際しては、編者である北京大学のご厚意により、2004年に刊行予定の改訂内容を盛り込んだ最新の内容を紹介出来ることになった。

 今回の翻訳陣の中では、古川裕、中西裕樹両氏はかつて北京大学中文系の大学院で研究された経験をもっており、編者や協力者の先生方とも深いご縁がある。本書が、現代中国語の研究者、院生、学生のみならず、中国語教育に携わっておられる多くの方がた、さらには広く言語全般や中国の社会、文化に興味を持っておられる方がたの机上にあって、両国の学術文化交流の礎となることを心から願っている。

 以下に、翻訳の担当を記しておく。

  第1章 序論  関久美子(東京学芸大学講師)
  第2章 音声  中西裕樹(京都大学人文科学研究所
          助手)
  第3章 文字  木村 守(東京学芸大学専任講師)
  第4章 語彙  舟部淑子(文教大学専任講師)
  第5章 文法  古川 裕(大阪外国語大学助教授)
              (第1節〜第11節)
          森 宏子(流通科学大学専任講師)
              (第12節〜第17節)
  付録 句読点・かっこなどの用法  関久美子

 監訳者である松岡と古川は、訳稿すべてに目を通し、用語や表現の統一を図るとともに、原著の誤植や表現上の齟齬などを訂正した。

 おわりに、本書の翻訳作業の開始から最後まで、綿密に編集作業を進めてくださった三省堂外国語辞書編集室の近山昌子さんに心から感謝を申し上げる。

  2004年2月28日

松岡榮志

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