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連続授業 人生の終わりをしなやかに


連続授業 人生の終わりをしなやかに

清水哲郎・浅見昇吾・アルフォンス=デーケン 編

1,600円 四六判 224頁 978-4-385-36517-6

高齢社会化とともに「終末期医療」や「良い死の迎え方」への関心は高まっている。人生の終わりをしなやかに生きるために、在宅ケア医、死生学や哲学の研究者など7人が、具体的な心得と考察により終末を生きる意味と方法を問う。

目 次   まえがき   執筆者紹介

2012年6月10日 発行

 



目   次

まえがき 1

1時間目 死に逝く人へのこころのケア

◆アルフォンス・デーケン(上智大学名誉教授)

こころ豊かに生きる 7/生と死を考える 16

2時間目 終わりの時期の意思決定プロセス

◆清水哲郎(東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター
      上廣講座 特任教授)

〈意思決定〉ということ 31/私の人生をどう把握するか 終わりに臨んで 42/最期まで希望をもって生きる 56/おわりに 65

3時間目 苦しみの中でも幸せは見つかる──人間存在と苦しみの構造

◆小澤竹俊(めぐみ在宅クリニック院長)

いのちの授業“苦しみとどう向き合うか” 69/苦しみの本質 72/苦しみの中でも穏やかさを取り戻すための3つの支え 76/誰かの支えになろうとする人こそ、一番支えを必要としている 86/まとめとして 87

4時間目 ターミナル介護の現場で思うこと

◆小館貴幸(介護福祉士)

ターミナルケアとは? 緩和ケアとは? 91/ターミナル介護の現場から 94/「私が死ぬ」ということ 102

5時間目 東京都における在宅終末期医療の現状と今後の展望

◆川畑正博(東京厚生年金病院緩和ケア内科部長)

現在の在宅終末期医療の体制 115/課題と展望 131

6時間目 かかわりあいが作る「良い死」
      ── 医療マンガ『Ns' あおい』を題材にした考察

◆山崎浩司(信州大学医学部保健学科准教授)

なぜ医療マンガを題材にするのか 148/事例『Ns’あおい』第4巻 152/死にゆく者とのかかわりあいへの照準 169/良い死に関する欧米の文化的スクリプト 172/良い死に関する日中の文化的スクリプト 176/おわりに 182

7時間目 終末期医療がなぜ大きな問題になったか?

◆浅見昇吾(上智大学外国語学部教授)

終末期医療が問題になる背景 189/終末期医療に潜む問題点 197

あとがき 210


まえがき

 本書のタイトルは「人生の終わりをしなやかに」となっています。「しなやか」とはどういうことでしょうか。「硬直」していないんですよね。「がちがち」に固まっていない。かといって「ぐにゃぐにゃ」でもありません。弾力がありますから、力をかければ曲がりますが、もとにもどる力も働きます。曲がるかたちもいかにも美しい──しなやかというのは、こういったことではないでしょうか。

 人生の終わりはかくかくであるべきだ、と硬直して考えていますと、本人も周囲の人たちも辛いことになります。「少しでも長く生きられるようにできるだけのことをしてください」と言われても、医療者は「できるだけのこと」ってどこまでやってほしいと希望されているのか、考えてしまいます。いろいろやると本人にはかえって辛く苦しいことになりかねないからです。

 「徒らな延命治療はやらないでください」──でも、救急の場合のように、だれも「徒らな延命」などするつもりがなく、ただ助かるかもしれないので、一所懸命に救命のための手立てをつくしている場合もあります。その結果、遷延性の意識障害(いわゆる植物状態)になってしまったら、「徒らな延命をされてしまった」と言われなければならないでしょうか。また、生命を延ばすために(つまり延命目的で)導入すると見える方法だけど、ある場合は、苦痛を和らげるために(つまり、「緩和目的」で)導入しようとしている、ということもあるのです。

 あるいは、「この治療はかならず延命効果がありますから、やりましょう。え? したくない?あなたねえ、親が餓死してもいいっていうの?」と、こういう治療はしないのはおかしいと決め込んでしまっているような発言も時に聞かれます。

 状況に応じて柔軟に考えることが第一歩です。ただ、身体のことだけを考えるのではなく、人生全体を考えましょう。私は、あるいはこの人は、かくかくの人生を経て今にいたっているから、今、最期の時を、しかじかに生きたい(のではないか)、ということが大事です。

 「かくかくの人生であった」「これからしかじかのように生きたい(過ごしたい)」と、人生は物語られるものです。そして、その人生の物語りは本人が創りつつ、かつその創りつつある物語りを実際に生きようとしつつ、形成されていきます。物語りの最終章をどのようにするか、今から考えておくと、実際にその場になった時のための心構えができるでしょう。

 本書は、このようなことを目指して企画されたものです。いろいろな視点から、実際に人の最期の日々の生活をサポートする働きをしておられる方とそれについての研究者とが情報を提供しています。ご自分のこと、家族のことを念頭において、お読みいただけたらと思っております。

2012年3月

編者を代表して

清水 哲郎



執筆者紹介

■1時間目■

Alfons Deeken(アルフォンス・デーケン)

上智大学名誉教授。「東京・生と死を考える会」、「生と死を考える会全国協議会」名誉会長。カトリック司祭。

 1932年ドイツ生まれ。1959年来日。1973年フォーダム大学大学院(ニューヨーク)で哲学博士号(Ph.D.)を取得。1973年より上智大学で「人間学」「死の哲学」などの講義を30年にわたり担当した。2003年3月退官。1982年11月〜12月に第1回「生と死を考えるセミナー」を開き、これを契機として生と死を考える活動をはじめ、「死への準備教育」の普及と促進、終末期医療の改善と充実、ホスピス運動の発展に尽くしている。また、死別体験者の分かち合いをすすめ、立ち直りに向けて、共に歩む活動を推進し、現在は、主に講演活動を行っている。

 1975年アメリカ文学賞(倫理部門)、1989年第3回グローバル社会福祉・医療賞、1991年全米死生学財団賞および〈わが国に「死生学」という新しい概念を定着させた〉という理由で、第39回菊池寛賞、1998年「死への準備教育」普及の功績によりドイツ功労十字勲章叙勲、1999年第15回東京都文化賞および第8回若月賞受賞。

 著書「よく生き よく笑い よき死と出会う」新潮社、「新版 死とどう向き合うか」NHK出版、「あなたの人生を愛するノート」フィルムアート社、「ユーモアは老いと死の妙薬」講談社、「第三の人生」南窓社、「旅立ちの朝に」青萠堂、新潮文庫、他多数。

■2時間目■

清水哲郎(しみず てつろう)

東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター 上廣講座 特任教授。

 1947年生まれ。東京大学理学部天文学科卒業(1969年)後、東京都立大学で哲学を学ぶ。文学博士。北海道大学助教授、東北大学教授などを経て、2007年度より現職。

 西欧中世の言語哲学、キリスト教思想史を専門としていたが、80年代後半から医療現場に臨む哲学を試み、現在では臨床倫理学・臨床死生学から高齢者ケアにも領域をひろげつつある。

 現場で実践的研究を通して、現実の人間に迫る哲学を志向。

 著書に、「医療現場に臨む哲学」(勁草書房)、「世界を語るということ─「言葉と物」の系譜学」(岩波書店)、「高齢社会を生きる─老いる人/看取るシステム」(編著 東信堂)。「ケア従事者のための死生学」(島薗進と共編著 ヌーベルヒロカワ)など。

■3時間目■

小澤竹俊(おざわ たけとし)

 医師:めぐみ在宅クリニック院長、日本緩和医療学会暫定指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本緩和医療学会代議員(2012年〜2014年)、在宅緩和ケアを実践しながら、全国でいのちの授業を精力的に行っている。

 略歴:1963年生まれ。1987年東京慈恵会医科大学卒、1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程卒。

 横浜甦生病院ホスピス病棟長をへて2006年にめぐみ在宅クリニックを開設、開設以来5年間での在宅看取りは800人を越える。主な著書「13歳からのいのちの授業」(大和出版)、「実践スピリチュアルケア」(日本医事新報社)、「いのちはなぜ大切なのか」(ちくまプリマ新書)。

■4時間目■

小館貴幸(こだて たかゆき)

 立正大学人文科学研究所研究員、立正大学非常勤講師、明治大学非常勤講師、帝京平成看護短期大学非常勤講師、川崎看護専門学校非常勤講師、介護福祉士。学会活動・社会的活動としては、日本倫理学会会員、日本医学哲学・倫理学会会員、日本介護福祉士会会員、日本臨床死生学会会員、日本ホスピス・在宅ケア研究会会員、日本ALS協会会員など。

 1972年生まれ。専門は哲学(生命倫理学、死生学)、介護。具体的には、死を中心に据えて死の意味を問い、死と死を巡る問題に関して研究を続ける。特に最近の関心は、ケア論や死者の問題である。死について思索を続ける一方で、「死は常に現場で生じ、そこで亡くなるのはいつでも顔の見える具体的他者である」として臨床の現場にこだわり、「あなた」と直接に関わること・対話することをモットーに、介護福祉士として在宅における終末期介護(ターミナルケア)や難病介護に携わっている。

 共著「存在の意味への探求─手川誠士郎先生古稀記念論文集」(秋山書店、2011年)。その他論文多数。

■5時間目■

川畑正博(かわばた まさひろ)

 医師、東京厚生年金病院・緩和ケア内科部長、同・在宅緩和ケア支援センター長、日本緩和医療学会暫定指導医、PEACE研修会(緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会)修了者、日本緩和医療学会代議員(2008年〜2010年)、東京都がん対策推進協議会・緩和ケアのあり方検討部会委員、新宿区地域保健医療体制整備協議会・在宅療養専門部会委員、緩和ケアネットワークミーティング代表世話人、城南緩和ケア研究会世話人、多施設緩和ケア研究会世話人。現在、緩和ケア病棟および緩和ケアチームにおいて院内での緩和ケアに従事する一方、東京都在宅緩和ケア支援センター(東京都よりの委託事業)の活動として、専門職向け研修会や一般都民向け講演会などを開催。また、支援センター事業の一環として在宅緩和ケア全般に関する電話相談にも応じている。

 略歴:1953年生まれ。1978年、東京大学大学院電子工学専門課程修士課程修了。1984年、東京大学医学部医科学科卒業。内科研修医を経て東京大学病院第一内科に入局。1991年から1995年まで米国Vanderbilt大学に留学。1995年から2000年まで癌研究会・癌研究所・生化学部(当時、宮園浩平部長)にてがん研究に従事。2001年から東京厚生年金病院に異動。2003年から同病院・緩和ケア科医長。2005年から緩和ケア科部長。2009年からは在宅緩和ケア支援センター長を兼任。

 著書:「緩和ケアネットワークミーティング ─PCネット─」真興交易医書出版部、川畑正博 地域がん診療連携拠点病院の役割と課題、川畑正博、宮子あずさ 緩和ケア病棟/ホスピス 1特徴と役割。その他、学会発表、講演、論文等多数。

■6時間目■

山崎浩司(やまざき ひろし)

 信州大学医学部准教授。  1970年米国生まれ。専門は死生学および医療社会学。上智大学で比較文化学(学士号)、英国エディンバラ大学で社会人類学(優等修士号)、京都大学で人間・環境学(博士号)を修める。京都大学非常勤講師・研究員、関西看護医療大学専任講師、東京大学特任講師を経て現職。日本臨床死生学会、日本保健医療社会学会、日本保健医療行動科学会、日本質的心理学会などに所属。

 東京大学に在籍した2007年度から2011年度までは、大学院人文社会系研究科に設置された上廣死生学寄付講座の教員として、また、東京大学グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」事業推進担当者として、死生学関連のセミナー、講演会、シンポジウム、研究会などの開催に携わった。

 これまでの研究は、エイズ、がん、終末期ケア、死別体験、質的研究、マンガなど、トピックは多岐にわたるが、一貫した関心は現代社会における生きづらさの解明と是正である。特に日常的な人間関係や行為に潜んでいて、往々にしてはっきりと意識しにくい形で発生する権力関係や抑圧を浮き彫りにし、問題提起をしていくことに強い関心がある。

 共著「死別の悲しみを学ぶ」聖学院大学出版会、「薬学生・薬剤師のためのヒューマニズム」羊土社、「ケア従事者のための死生学」ヌーヴェルヒロカワ、「よくわかる医療社会学」ミネルヴァ書房、「生と死のケアを考える」法藏館。共訳「ナラティブ・ベイスト・メディスン」金剛出版、「ナラティブ・ベイスト・メディスンの臨床研究」金剛出版、など。

■7時間目■

浅見昇吾(あさみ しょうご)

 上智大学外国語学部ドイツ語学科教授、上智大学生命倫理研究所所員、上智大学グリーフケア研究所所員。日本医学哲学・倫理学会理事。本書の元になった上智大学社会人講座「死ぬ意味と生きる意味」のコーディネーターを当初より務める。

 1962年生まれ。慶應義塾大学卒。ベルリン・フンボルト大学留学を経て2004年より上智大学外国語学部に赴任。外国人が取得できる最高のドイツ語の資格・大ディプローム(GDS)を持つ数少ない一人。専門は、生命倫理、ドイツ現代哲学、ドイツ観念論。ドイツ現代哲学の知識を背景に生命倫理の諸問題に切り込む。と同時に、現代哲学の手法、特に承認論を手がかりに社会哲学の諸問題と取り組む。

 また、学術書、教養書、小説等、数多くの翻訳を行う。近年は「魔法の声」、「魔法の文字」、「ポティラ──妖精と時間泥棒」をはじめとしたドイツ児童文学の翻訳を手がけることが多い。

 共著「医療倫理Q&A」(太陽出版、1998年)、共著「臓器移植と生命倫理」(太陽出版、2003年)。その他、論文多数。



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