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組織論から考えるワークショップデザイン


組織論から考えるワークショップデザイン

宇野伸宏・久保田善明 監修、北野清晃 著

1,600円 四六判 176頁 978-4-385-36071-3


ワークショップを「一時的に形成されては消滅する小規模の組織」としてとらえ、経営組織論の視点から分析。組織をとりまく罠や実践事例なども紹介。ワークショップに関わる人だけではなく、組織やチームを動かすビジネスリーダーにも役立つ待望の書。全6章。

はじめに   監修者あとがき   謝辞   目 次
監修者略歴・著者略歴   本文見本ページ


2016年7月30日 発行




はじめに

 近年、異分野・異文化の人々が協働するワークショップという場、そして、その場を動かす役割としてファシリテーターが注目を浴びています。たとえば、教育学習分野では、従来の一方向の知識伝達型学習から、双方向の参加型学習へと変化する潮流の中で、ワークショップは有効な学習形式として注目されてきました。まちづくり分野では、従来の行政主導型から、住民参加・住民主体型の政策づくりが推進される中で、ワークショップは住民の合意形成の手法として活用されてきました。企業経営分野では、異なる専門性を持つメンバーが協働する手法や、異なる組織文化を持つメンバー同士の組織開発手法として、ワークショップが実践されるようになってきました。これ以外にも、ワークショップの実践は多分野に拡大しており、実践的なワークショップのデザイン方法論への期待が高まっています。

 これまでのワークショップ関連の書籍は、主に「スキル」や「形式」「手法」としてワークショップを論じるものでした。具体的には、ワークショップを進行するためのファシリテーションスキルや、ワークショップによる学習形式および合意形成手法などです。しかし、ワークショップ実践が拡大するにつれ、あたかも「ワークショップ形式にすれば学習効果が高まる」「ワークショップを行えば合意が形成できる」「ワークショップの成否はファシリテーター次第である」といった認識も広がりつつあります。これらの誤解を生む認識の背景には、「ワークショップはそもそも組織である」という本質的な視点が欠落しているのではないでしょうか。人々は永続的な組織あるいは数ヶ月単位のプロジェクト型組織であれば組織的な観点で考えますが、数時間〜数日で完了するワークショップが組織であるとはなかなか考えません。そのため、その場限りの形式や手法というテクニックに走りがちになります。

 しかし、現実はむしろ逆です。ワークショップは一時的で小規模とはいえ、そもそも組織なのです。永続的組織やプロジェクト型組織は時間経過の中でゆっくりと醸成可能ですが、ワークショップはそうはいきません。状況依存的な出来事にその場その場で対応しながら組織化を図る必要があります。この一時的で小規模な組織にこそ、組織的な視点での仕掛けや配慮が不可欠ではないでしょうか。

 本書は、ワークショップを経営組織論の視点から考えるものです。ワークショップの活用領域を限定することなく、全領域で適用できる「ワークショップの組織デザイン」をテーマにしています。これは、既存のワークショップ論、ファシリテーター論とは一線を画す新しい挑戦です。具体的には、「I 理論編」では、ワークショップを「一時的に形成されては消滅する小規模な組織(ワークショップ組織)」と捉え、組織構造を独自のモデルで展開することにより、ワークショップの実践家が経験則や暗黙知の中で行っている組織づくりの仕掛けを解説します。さらに、「II 失敗編」ではワークショップ組織を取り巻く罠、「III 事例編」ではワークショップの実践事例、を紹介します。これは言わば、失敗例と成功例の両面から学習しようという試みです。

 本書は、京都大学経営管理大学院における著者と監修者での共同プロジェクトとして生まれた企画です。全員が異なる実務経験と学術経験を有しているがゆえに、これまでのワークショップ論にはなかったアプローチで本書をまとめることができました。本書が、これまでワークショップに関わってきた方に限定することなく、組織やチームを動かすリーダーにも役に立つものとなれば幸いです。


2016年5月

著者




目  次

はじめに 002

I 理論編

ワークショップの組織デザイン論を学ぶ 007

[1] ワークショップの可能性 008

1-1 ドメインと場づくり 008

1-2 既存のワークショップ論と社会的背景 011

[2] ワークショップの組織 019

2-1 ワークショップの定義 019

2-2 ファシリテーター最重要主義からの脱却 021

2-3 ワークショップを「演劇」として捉える 023

2-4 ワークショップを「組織」として捉える 026

2-5 「組織」で捉えるステークホルダーの再定義 029

2-6 「組織」で捉えるワークショップ形態の再定義 031

[3] ワークショップの組織構造 039

3-1 組織構造の単位 039

(1)F:Facilitator ファシリテーター 039/(2)P:Participant 参加者 043/(3)O:Object 対象 046/(4)─:Interaction 関係性 047

3-2 ステークホルダーの関係性の構築 050

(1)FとPの関係性を作る 050/(2)PとPの関係性を作る 050/(3)PとOの関係性を作る 052/(4)アイスブレイクの3つの意図 053

3-3 ワークショップの組織構造の展開 057

(1)多個人化 057/(2)ペア化・チーム化 059/(3)多ペア化・多チーム化 060/(4)フラット化 062/(5)ワークショップの組織構造の展開図 064

3-4 代表的な組織構造の型 066

(1)基本型 066/(2)分業型 067/(3)フラット型 068

3-5 ワークショップとチームの最適人数 068

●コラム 歴史に登場するワークショップの組織構造 072

[4] ワークショップの組織デザイン 074

4-1 プロセス重視とアウトプット重視 074

4-2 プロセス重視では“個人で”「ぐるっと一回り」 075

4-3 アウトプット重視では“チームで”「ぐるっと一回り」 080

4-4 ワークショップの組織構造の組み合わせ 085

(1)個人と全体(関係性の変化) 085/(2)発散と収束(情報の量の変化) 085/(3)具体化と抽象化(情報の質の変化) 088/(4)ワールドカフェの組織構造 089

4-5 ワークショップの組織デザインプロセス 092

●コラム 組織の優れたリーダーはワークショップも上手い 102

II 失敗編

ワークショップ組織の罠に陥らないために 105

[5] ワークショップ組織の罠からの回避 106

5-1 ワークショップ組織を取り巻く罠 106

5-2 ファシリテーターが陥る罠 108

(1)関係性過剰の2つの罠 108/(2)参加者化の罠 112/(3)関係性放棄の罠 113

5-3 参加者が陥る罠 115

(1)関係性過剰の4つの罠 115/(2)協力関係放棄の罠 122/(3)役割放棄の罠 123

5-4 ワークショップ組織全体が陥る罠 124

(1)理念不在の罠 124/(2)物理的空間失敗の罠 128

5-5 罠を回避するためのスタンス 129

(1)裏舞台のワークショップ組織 129/(2)参加者を罠から守るのはファシリテーター 130/(3)参加者によるこっそりファシリテーター 130

III 事例編

ワークショップの組織デザイン事例から学ぶ 133

[6] 実践事例「ドメインワークショップ」 134

6-1 事例の概要 134

6-2 裏舞台ワークショップの組織デザイン 134

6-3 理念を明確化する 138

6-4 5つの資源を確認する139

(1)ワークショップ準備シート I 139/(2)ワークショップ準備シート II 141

●コラム 損益分岐点と最低実施人数 143

6-5 プログラムを具体化する 145

(1)メインとなる活動のデザイン 145/(2)プログラムに埋め込んだ仕掛け 150

●コラム 「ペアコンサルティング」ワークでの分析ツール 159

6-6 組織成立の3要素をチェックする 163

(1)組織構造の変化 163/(2)罠やアクシデントへの対応方法 166

6-7 フィードバック方法を決めておく 167

主要参考文献 170

主要索引 172

監修者あとがき、謝辞 174



監修者あとがき

 本書は、京都大学経営管理大学院の宇野・久保田ゼミでの議論をきっかけに生まれました。著者の北野清晃氏は、ワークショップのファシリテーションを専門とする経験豊富な実務者で、現在は同大学デザイン学大学院の博士課程に籍をおく研究者でもあります。本書の理論的骨格である第3章「ワークショップの組織構造」で述べられている内容は、その多くがゼミでの議論から生まれたものです。

 本書でも触れられていますが、ワークショップは組織論の古典であるバーナードの組織成立の3要素を満たしています。この一時的で小規模な組織は、会議、研修、企画開発、教育、合意形成など、様々な場面に現れます。私たちの身の周りでは、ワークショップのようなやりとりが日々数多く繰り広げられているのです。そのような目で日常を眺めると、また新しい発見があるかもしれません。

 とはいえ、ワークショップを組織として捉える研究はまだ緒についたばかりです。今後の更なる発展を願いたいと思います。  本書がワークショップに関心を持つ人々、そしてポジティブに仲間と協働することを望む人々にとって参考になれば幸いです。


宇野 伸宏  久保田 善明




謝 辞

 京都大学経営管理大学院、デザイン学大学院にて、関わってくださったすべての人に深く感謝を申し上げます。ゼミや講義での議論、イベントでの体験・実践を通して、本書につながる貴重な知識や知恵をいただきました。特に、同じ宇野・久保田ゼミ生の舟津昌平氏と邱淑萍氏は、終始議論に参加くださいました。

 また、研修やワークショップの実践に関わってくださった企業や団体の皆様にも深く感謝を申し上げます。共に場を創り上げる中で経験したエピソードを本書に織り込むことができました。

 最後に、三省堂出版局の飛鳥勝幸氏には、本書の企画を引き受けてくださったこと、丁寧な編集に尽力くださったことに、深く感謝を申し上げます。


北野清晃




監修者略歴・著者略歴

<監修者略歴>

宇野 伸宏(うの のぶひろ)

京都大学大学院工学研究科准教授
1964年大阪府生まれ。京都大学工学部交通土木工学科卒業。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。博士(工学)。横浜市道路局、京都大学工学部助手、京都大学大学院工学研究科助教授、京都大学大学院経営管理研究部准教授を経て、現職。経営管理大学院では「Transportation and Logistics Management」を担当し、ICTを活用した都市交通マネジメントのあり方について講義を行うとともに、「サービス価値創造ワークショップ」などでゼミ指導を行ってきた。京都駅南口駅前広場エリアマネジメント会議などで委員を務め、市民参加型のまちづくりの場にも参画。

久保田 善明(くぼた よしあき)

京都大学大学院工学研究科(経営管理大学院経営研究センター兼担)准教授
1972年京都府生まれ。広島大学工学部第四類卒業。京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。石川島播磨重工業株式会社(現、株式会社IHI)、株式会社オリエンタルコンサルタンツに勤務後、京都大学経営管理大学院准教授を経て現職。経営管理大学院では「デザイン経営論」を担当し、デザインを経営学の戦略論・マーケティング論・組織論などと関連づける講義を行うとともに、デザインシンキングを始めとするワークショップを実践。2013年、当科目でベストティーチャー賞を受賞。

<著者略歴>

北野 清晃(きたの きよてる)

ワークショップデザイン研究所 代表
京都大学デザイン学大学院/京都大学大学院情報学研究科 博士後期課程在学中

1977年大阪府生まれ。金沢大学大学院自然科学研究科修士課程修了。京都大学経営管理大学院専門修士課程修了。修士(工学)、MBA。都市計画コンサルティング会社にて自治体の計画策定業務、まちづくりワークショップの企画運営業務に携わる。その後、人材開発・組織開発を支援する公益法人にて、企業などの研修やワークショップの企画運営業務に8年間従事する。現在は、再び大学院にてワークショップの組織デザインに関する研究を行うとともに、ワークショップデザイン研究所を設立。ワークショップの企画やファシリテーター、研修の企画や講師として活躍している。中小企業診断士、一級建築士、一級販売士、キャリアコンサルタント、ビジネスコーチなどの資格を保有。



本文見本ページ

*全てPDFファイルです



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