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英語の疑問 新解決法  伝統文法と言語理論を統合して


英語の疑問 新解決法 伝統文法と言語理論を統合して

八木克正 著

1,700円 四六判 224頁 978-4-385-36503-9

英語の学習にあたり、誰もが出くわす「英語の疑問」。どのような考え・姿勢で、どのような道具(辞書・語法辞典・コーパスなど)を用いてそれに立ち向かうのか。語法研究の第一人者が、豊富な実例を交え、教条を廃し実践に即して説き明かす。英語〜英語教育関係者必読。

はしがき   著者紹介

2011年5月30日 発行



はしがき

英語を読んでいると、語句の解釈や表現法についていろいろと疑問が起きる。大体はそのまま読み過ごしてしまえばよい。だが、書くとなるとそうはいかず、辞書を調べることになるだろう。ましてや、授業で英語を教える立場では、そのまま放っておくわけにはいかない。疑問について何らかの答えをもっていなければならないだろう。ところが、辞書を見てもなかなか求める答えはないものだ。だから、英語のあるところ常に疑問があると言っても過言ではない。

生じるあらゆる疑問に即座に誰かが答えてくれればよいのだが、そんなことは期待できない。ネイティブに聞けばよいというのは拙速だ。日本語ネイティブである自分自身の日本語についての洞察力と知識を省みればすぐにわかるはずだ。結局は自分なりに調べて、結論を出すしか方法はない。しかし、実際に答えを見つけることは簡単なことではない。それなりの考え方や方法、調べるための道具が必要だ。本書の目的は、英語の語彙や表現、文法についての疑問に対応する考え方、方法、揃えておくべき道具について語ることにある。

本書は、疑問に対する回答そのものが目的ではなくて、回答を見つけるための調べ方を学んでもらうことが目的だ。と言っても、抽象論議では理解は進まないので、できるだけたくさんの具体的な例を見ながら方法を述べてゆきたいと思う。

英語に関する疑問をどのようにして解決したらよいかという便利な案内書はない。少し昔、『現代英文法講座11 語法の調べ方・総索引』(大塚高信編、研究社、1976)があった。「語法の調べ方」の部分には優れた観察が多く見られるが、その後文献も数限りなく増えたし、新しい言語学や文法書、語法書も次々と世に送られてきた。

そもそも無限にある英語に関する問題や質問のすべてに答える本などない。だから、自ら調べる方法や考え方を身につけることが必要だ。そして、自分自身で問題解決に立ち向かうことが必要だ。

英語についての疑問は、英語を学ぶ学生・生徒や英語を教える教師だけでなく、誰でも新聞を読んだり本を読んだり、英会話の勉強をしていると、必ず沸き上がってくる。英語力は読んだり書いたりすること以外に、疑問をひとりでじっくりと考え、自分なりの説明を考えることからもついてくる。

教師であれば、何らかの現象を説明する独自の考え方を編み出している場合が少なくない。その考え方は、経験から、あるいは文献から学んだものであろう。その考え方は教室の中だけで終わり、それを外に向かって発信することは少ないだろうと思う。同僚と議論をする機会があればよいのだが、教室だけで終わるとひとりよがりになってしまう。ひとりよがりにならないためにも、いろいろな文法書や語法書、辞書などを調べるくせをつけておく必要がある。本書ではそのための案内をしたいと思う。

言語学の世界にはいろいろな理論がある。生成文法、認知言語学、構文文法、体系機能文法など、今の時代の最先端をゆくパラダイムがある。これらの理論を学んでから自分の問題を解決するということでは、時間がかかりすぎる。下手をすると、自分の問題を解決しないうちに理論そのものが変化し、消滅する可能性もある。それでは目の前の問題解決の役には立たない。そのような理論研究は言語学者に任せておこう。

有力とされる言語理論は、それぞれに得意な分野がある。音韻論や統語論、特に「移動」現象に関わった統語規則の扱いに強い生成文法、前置詞などのイメージ図を使った説明や比喩に強い認知言語学、結果構文などの一般的な構文からの拡張形式に強い構文文法、といったことは過去の研究成果から言えるだろう。つまり、日常的に沸き起こる言語についてのあらゆる疑問に答えるというような言語理論は存在しない。

近年は英語のデータベースであるコーパスもインターネットで検索できるようになった。昔のように、本や新聞・雑誌を読んで手作業でデータ収集する必要も少なくなった。英和辞典を中心に、英語についての有用な情報がたくさん提供されている。語法書といわれる項目ごとの辞書もよいものがたくさん出ている。これらを活用しながら、未解決の問題にチャレンジする方法を学んでみよう。

私は今まで40年以上、いろいろな英語の語彙や文法に関する問題に取り組んできた。ここで述べるのはそこから生まれた独自の方法論であり、常に大学院生や若い学者とともに考え、言語理論で開発された分析手法を加味し、改良してきた方法論である。そこから何かを学んでいただくことを願っている。

2011年2月



著者紹介

八木克正(やぎ かつまさ)

関西学院大学教授。英語学、英語の phraseology。英語語法文法学会前会長。『ユースプログレッシブ英和辞典』(編集主幹、小学館、2004)などの英和辞典・英語語法辞典の編纂者。『英語教育』誌 QB回答者。
主な著書に『新しい語法研究』(山口書店、1987)、『ネイティブの直観にせまる語法研究 ── 現代英語への記述的アプローチ』(研究社出版、1996)、『英語の文法と語法 ── 意味からのアプローチ』(第1回英語語法文法学会賞授賞)(研究社出版、1999)、『英和辞典の研究 ── 英語認識の改善のために』開拓社(開拓社、2006) 、『世界に通用しない英語 ── あなたの教室英語大丈夫?』(第1回日本英語コミュニケーション学会賞(学術賞)受賞)(開拓社、2007)



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