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漢字んな話 2


  朝日新聞の好評漢字コラム待望の書籍化第2弾!
最新の研究成果も踏まえ大幅加筆

4月「美」から3月「極」まで、
身近な漢字100字のルーツやウンチクを
校閲記者が江戸落語風に楽しく紹介。

縦組みでも読みやすいイワタ UD明朝体(大きくデザインされた視認性・可読性に優れた文字)を使用。
[書体名:UD明朝RかなA。UD=ユニバーサルデザイン]

 

漢字んな話 2

笹原宏之 監修、前田安正・桑田 真 著、わけみずえ 画

1,500円 四六判 224頁 978-4-385-36448-3


朝日新聞で四年間連載された人気コラムの書籍化第2弾。ご隠居・咲・熊による落語風の掛け合いで、身近な漢字の成り立ちがすいすい分かる。甲骨・金文・小篆の古代文字や楽しいイラストも満載。全100字。索引付き。

はじめに   目 次
本文見本: pp.54-55
索引見本:1ページ目のみ *書籍では全4ページ
監修者・著者・作画者紹介

2012年2月15日 発行




『漢字んな話』

『漢字んな話』


はじめに

 漢字は、今から三千年以上も前に、中国大陸の地で生まれた。余りにも古いことなので、蒼頡そうけつという四つの目を持つ不思議な人が生み出したという説話も生まれたくらいだ。かつては伝説とされたいん王朝の時代に亀の甲羅や牛の骨に甲骨文字が刻まれて以来、中国では近現代になるまで漢字は造られ続けてきた。

 漢字を見つめると、どうしてこのように書くのかがうかがえるものがある。「木」「山」「川」「日」は、分かりやすい。なぜそれらの字体が「ボク」「サン」「セン」「ニチ」と読むのかまで知りたくなってくる。さらに、「白」「赤」「黒」「青」「緑」などは、なぜこのような形で色の意味を表すのかも気にかかってくることだろう。

 一つ一つの漢字は、造られた当時、何らかの意図をもってその形が定められたに違いない。形によって作られた象形文字は素朴である。中国で昔、mukというような発音で呼ばれた植物(英語で言えばwood)を
 
かたどったのだ。

 具体的で基本的なことばにはそのように字を造っていくことができる。しかし抽象的な概念を持つことばとなると工夫がいる。それを図形で表したのが指事文字である。「木」のこずえの部分にマーク(一)を入れて
 
(末)とする。一方、その根もとにマークを入れて
 
(本)とした。今でも、「本末転倒」ときちんと対をなす。

 森羅万象を表現するために単語は限りなく増えていく。それに対応するためには、素朴な造字法だけでは足りない。単体の字を組み合わせ始めた。「木」を二つ合わせて「林」とするのが、意味を合わせた会意文字である。それらは、古代人の物事の見方、捉え方を反映している。水浴びをするという意味を持つmukということばを表すためには、さらなる方法が試みられた。発音を表すために「木」を借りてくる。「wood」という意味をここで消し去るのだ。「水」と「木」とを合わせた「沐」は、発音も示す形声文字である(「沐浴もくよく」の一字目)。こうして漢字の造字法は四種類になった。

 それらの漢字によって、実際の数多くのことばを書き表そうとするときには、柔軟に応用を加える必要があった。漢字のもつ意味や発音に基づいて、ある漢字を別の漢字と通わせるようになる。転注と仮借かしゃという二つの使用法である。こうして六書りくしょとよばれる漢字の造字・応用方法がそろった。さらに種々の細かな方法を創造しながら、漢字は複雑な歴史を歩みつづけてきた。

 こうして発展した漢字は、日本には五世紀頃に中国から、ときに朝鮮半島を経由して、本格的に伝来しはじめる。「木」という字では、当時の中国での「モク」「ボク」というような発音を聴き取って、これらを音読みとした。さらに、自分たちの暮らしの中で使ってきた和語つまり「やまとことば」の「き」が、それに対応する意味を持つことに気付き、これを訓読みとした。「末」は「すえ」、「林」は「はやし」と訓読みの手法を定着させながら、ついにそれを利用して日本語の文章も書き表そうとする。そのために、さらに応用を重ねる必要が生じた。日本で神事に用いる木「さかき」には新しく「榊」と書くというように造字までなされ、それも国字として親しまれていく。そこには日本の消化力と独自の工夫が見られる。

 ことばや文字の起源は、古代のことなので証拠が残っていないことが多い。字源や解字と呼ばれる字の成り立ちを記した辞書は、中国では千九百年も前に許慎によって『説文解字』が編纂へんさんされているが、今に至るまで個々の字の字源は諸説紛々である。どの残存資料を重視するか、古代社会をいかに捉えるかといった立場や解釈の違いが一因となって、簡単な「白」でも、どんぐり、親指、髑髏どくろ、米粒、豚の皮など、象形文字だと言っても日中で定説を見ない。それは、個々の漢字の本来の字形だけでなく、その大元の発音や意味も明確ではないためである。

 本書は、そうした研究の状況を踏まえ、漢字の成り立ちや単語との関わりについて、朝日新聞校閲センターの前田安正氏、桑田真氏のお二人が楽しく記した連載に基づく。日本人が漢字に抱いてきた情感も盛り込まれている。単行本化に当たって、大いに加筆された。軽妙な対話を通して、移り変わる漢字やことばについて考えていただけると幸いである。

笹原宏之



目  次

はじめに …………………… 3

第一章 春
  やま里の春のあるじを人とはば おのがたづぬる花とこたへよ(慈円) 9

四月

 大きな羊「あんたは偉い!」…………………… 10

 この腕にそっと包みこんで …………………… 12

 オノを担いで一族を統率 …………………… 14

 命を与える大事なテン …………………… 16

まだれ+K ローマ字に音をゆだねる …………………… 18

 飛ぶ鳥にあらず、ガクーッ …………………… 20

 よく見て本質を見極めて …………………… 22

廿 十が二つ並んでひと文字に …………………… 24

 日光を一字に詰め込み中国風 …………………… 26

五月

 心ここにあらず、ボー然 …………………… 28

 「す」が「し」になり、「し」が …………………… 30

 長年連れ添えば、姿も変わる …………………… 32

 マメの器に実りがいっぱい …………………… 34

 勢い、流れる水のごとし …………………… 36

 産着に包んで守ってあげる …………………… 38

 同じ根から違う実がなる …………………… 40

 厳しくパシッと指導して …………………… 42

 木の上に立って何を見る? …………………… 44

六月

 稲妻がたけり天空を走る …………………… 46

 竹のムチにはトゲがある? …………………… 48

 始まりは「うまい」保存食? …………………… 50

 長寿の願い残して中国風 …………………… 52

 窓辺に浮かぶ白き月影 …………………… 54

 かたい塀に囲まれた場所 …………………… 56

 さわやかに?バッテン四つ …………………… 58

 逆さづりの不幸な歴史 …………………… 60

 なみなみ満たし飲み干そう …………………… 62

コラム⑴ 常用漢字って? (1) …………………… 64

第二章 夏
  夏あさきあをばの山の朝ぼらけ 花にかをりし春ぞわすれぬ(藤原為子) 65

七月

 重荷を一人?で引き受けて …………………… 66

 リズム整え、いい感じ …………………… 68

 首をぶら下げてお清め? …………………… 70

 支え合うのは大切だけど …………………… 72

 目から連なり落ちるもの …………………… 74

 痛っ!針で目を刺すなんて …………………… 76

 「げい」には「うん」も必要さ …………………… 78

 ぐんぐん伸びる草木の力 …………………… 80

八月

 大地を震わし落ちてくる …………………… 82

 美しい衣装を身にまとい …………………… 84

 グラウンドに輝く白い宝石 …………………… 86

 穀物の一部で年貢納める …………………… 88

 気持ちを表し、変幻自在 …………………… 90

 これぞ、もののけの魔力 …………………… 92

龍×4 龍四匹集まり井戸端会議 …………………… 94

 解とは昔なじみなんです …………………… 96

 筋肉系というより管理系? …………………… 98

九月

 馬も人も、思い通りに …………………… 100

 岸や汀も「かけ」だった …………………… 102

興×4 形と音があるのに「義未詳」 …………………… 104

 燃えさかるたき火のように …………………… 106

 元をただせば英語だった …………………… 108

 はかり知れない使い分け …………………… 110

 妻の言うことは絶対だ! …………………… 112

コラム⑵ 常用漢字って? (2) …………………… 114

第三章 秋
  さえのぼる月の光にことそひて 秋の色なる星合の空(藤原定家) 115

十月

 器に盛られたおいしい食材 …………………… 116

 部首が読みも示す個性派 …………………… 118

 大きくて立派なオスの牛 …………………… 120

 田畑を囲んで境界を描く …………………… 122

 屋根の下、みんなが集まる …………………… 124

 役所に泊まった西国の僧 …………………… 126

 時代と場所で異なる発音 …………………… 128

 もつれた糸を解きほぐす …………………… 130

 鳳と竜の行き着く先は? …………………… 132

十一月

 食事も見栄えが大事です …………………… 134

 ヘビのようにクネクネと …………………… 136

 神意伺い、真相を明らかに …………………… 138

 「尚」が読みの決め手なんです …………………… 140

 愛すべき?ビア樽おやじ …………………… 142

 悪に染まらず灰汁で真っ白 …………………… 144

 あふれた水がたまる場所 …………………… 146

 ますの中の米を「はかる」 …………………… 148

宿 家の中、敷物の上で一眠り …………………… 150

十二月

 大集団のとりまとめ役 …………………… 152

 のりを使ってぺったりと …………………… 154

 生きてゆくのは大変だから …………………… 156

 くさってばかり、いられない …………………… 158

 道ができ、店や人が集まる …………………… 160

 清濁併せのむ度量こそが… …………………… 162

 福を求め、目指すところに …………………… 164

コラム⑶ 音読みと訓読みって? …………………… 166

第四章 冬
 雪降れば冬ごもりせる草も木も 春にしられぬ花ぞさきける(紀貫之) 167

一月

 衣類をつくる、その第一歩 …………………… 168

 気品ある?カラスの鳴き声 …………………… 170

 大きな頭で「おもうなり」 …………………… 172

 えっ、言葉を表す漢字がない!? …………………… 174

 名前や功績、金属に残す …………………… 176

 十日で区切って、一回り …………………… 178

 頭より足先が前に出てます …………………… 180

 ゆっくり歩いていきます …………………… 182

二月

 一つにまとめ、まっすぐいく …………………… 184

 竹の札に記した決まり事 …………………… 186

 ほうきで奇麗に掃き清め …………………… 188

 「仕返し」に罰を与える …………………… 190

 長〜い流れに身をまかせ …………………… 192

 縄をなって、たぐり寄せ …………………… 194

 尊敬される?長髪のお年寄り …………………… 196

三月

 門に横棒さして通せんぼ …………………… 198

 矢を放つ瞬間の「パッ!」 …………………… 200

 クルッとまいて保管する …………………… 202

 集めてまとめて封をして …………………… 204

 ぴたりと寄り添う感覚? …………………… 206

 よく記号に間違えられます …………………… 208

 神の意を伝え人々を治める …………………… 210

 「うまさ」を伝えた方言 …………………… 212

 駐車場に今も残る約束事 …………………… 214

おわりに …………………… 216

主な参考文献 …………………… 219

索引 …………………… (巻末)ii



本文見本:pp.54-55

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索引見本:1ページ目のみ  *書籍では全4ページ

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監修者・著者・作画者紹介

〈監修者〉

笹原 宏之(ささはら・ひろゆき)

早稲田大学教授。1965年東京都生まれ。博士(文学)。専門は日本語学(文字・表記)。人名用漢字・常用漢字などの制定に従事。著書に『日本の漢字』(岩波新書)、『漢字の現在』(三省堂)など。『国字の位相と展開』(同)により金田一京助博士記念賞。

〈著者〉

前田安正(まえだ・やすまさ)

朝日新聞東京本社編成局校閲センター長。1955年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学卒業、82年入社。東京本社校閲部次長、名古屋本社編集センター長補佐、大阪本社校閲センターマネジャー、用語幹事を経て現職。

桑田 真(くわた・まこと)

朝日新聞東京本社編成局校閲センター員。1984年生まれ、青森県出身。東京大学卒業、2006年入社。

〈作画者〉

わけ みずえ(和気瑞江=わけちゃん)

東京学芸大学在学中に出会った人形劇から抜け出せず、現在は公演や講習会などをしつつ、イラストの仕事にも携わる。



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