シェイクスピアに関してはこれまでに、それこそ厖大な研究、文献の発表が積み重ねられてきたし、現在もその動きは止むことがない。実際、この数年、英米ではシェイクスピアの生涯を取り上げた書物が数多く出版され、その翻訳も多く出版されている。またシェイクスピアの戯曲も次々と意欲的な新訳が試みられ、日本におけるシェイクスピア劇の上演もますます活発におこなわれている。それだけシェイクスピアという人物が魅力に富んでおり、シェイクスピアが残した作品が現代でもなお人々の心を惹きつける力をもっているということだろう。
本書はシェイクスピアの生涯とその時代、戯曲や詩の特徴と鑑賞のポイント、シェイクスピア劇がイギリスだけでなく日本でどのように受け入れられてきたかなど、シェイクスピアの作品世界を理解するために必要な事柄を網羅して、鑑賞の手引きとして活用できるように編集したものである。
シェイクスピアに関心をもつ人々が本書を座右に置いていただけるようにと、執筆者一同、さまざまな工夫を凝らしたつもりである。かつて三省堂からは同名の書物(福田恆存監修『シェイクスピアハンドブック』1987年)が出版されていた。が、近年のシェイクスピア研究の深化は著しいものがあり、新たなハンドブックを編む必要があると考えて、この本を編集した次第である。本書を通じて、より多くの方々がシェイクスピアの作品の魅力に触れていただければ幸いである。