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  がんの時代を生き抜く10の戦術!

がんの時代を生き抜く10の戦術!

(品切)
絵門ゆう子・竜 崇正・嵯峨﨑泰子・吉田和彦・向井博文・埴岡(はにおか)健一 著

1,500円 A5 260頁 978-4-385-36250-2

「国民病・がん」への具体的な対策とより良い治療の最新情報を満載した待望のヒント集! 手術・抗がん剤をはじめ、インターネットでのがん情報検索、がんの正しいガイドライン紹介ほか盛り沢山。絵門ゆう子さんの死(2006年4月3日)の直前の患者術・座談会を収録。

2006年 7月15日 発行

はじめに 目次 著者紹介 あとがきに代えて ■絵門ゆう子さんへの追悼■



●はじめに

 高齢社会化にともない、がんになる人は増えつづけています。テレビほかのメディアで文化人・芸能人の闘病が頻繁に報道されるだけでなく、実際に私たちの周りでも、親や夫、妻、そして親しい友人知人の病気に心を痛めることが多くなってきています。今や3人に1人はがんで亡くなる時代…がんは他人事ではすますことができません。

 突然にがんを宣告された時、全ての人がパニックになります。外科医には「すぐ入院、すぐに手術をしなければ」と言われ、心はあせります。

 しかし、情報社会に生きている私たちは多くの医療情報に囲まれているので、一方で、良い医者にかかりたいし、きちんとした標準治療を受けたい…その他の多くのことも急いで調べ良い治療を受けなければ、と思います。

 メディアではがん難民のことや、がん診療レベルの病院間・医者間の差があることなども報道されています。現実においては、スピーディに最善の治療にこぎつけるのは、なかなか難儀なことにはなりますが、それでも情報を武器にベターな道を選びとることは不可能ではありません。

 いまや日本は、自分が納得できるがん医療を自分で選ぶ時代になりました。セカンドオピニオンも急速に広まりつつあり、一人ひとりが医者まかせではなく、勉強もし、積極的に治療に参加する時代が到来しています。

 このような潮流の中でがんに立ち向かうためには、がん医療をめぐる本当に正しい情報と選択肢を知る必要があります。

 本書は、納得して自分の医療を選ぶための10のキーワードを設定。がんの治療を選ぶための重要な知識のみならず、悩みを解決するための情報や闘病のコツ、サポート情報などを収録しました。

 インターネットやガイドラインによる正しい治療の把握の仕方、良い医者と病院をどう選ぶか、最新のがんの抗がん剤・手術方法ほか、手ごわい敵に対する有用な情報を知り、自分のがん治療によりよい道を見つけるための、幅を広げた情報活用本です。

 さらに、医療者、ジャーナリストらによる、現場から見るがん治療への示唆に富んだヒント、また、日本のがん医療を良くするための提言の数々も貴重です。

 また前向きな姿勢を最期まで崩さず、残念ながら4月に永眠された絵門ゆう子さんをはじめとするがんの患者さんたちの座談会では、進行するがんに立ち向かうそれぞれの生き様に、感動と力をもらうことができます。

 本書が、患者さんが、がんに立ち向かうためのキーポイント情報を獲得し、納得して治療を選択するためのお手伝いができれば幸いです。

2006年6月       著者一同



●目  次

はじめに 1

1章 座談会 患者が変える、医療者が変える 3

絵門ゆう子 & 千葉県がんセンター長/竜 崇正 &日本医療コーディネーター協会 嵯峨﨑泰子

前向きに生きる姿勢が変えるもの 5/患者と医者のベターな関係とは? 8/在宅 でできることは多い 16/抗がん剤治療の問題 21/医者とメールでつながる時代?  26

2章 インターネットが、がんとの闘病を変える!

医療ジャーナリスト 埴岡健一

3つの事例に見る教訓 34/ネット活用術5カ条 37/情報5分法 39/がん闘病に役立つ主なサイト一覧 46

3章 あなたの生き方に合った治療を決めるお手伝い─医療コーディネーターに相談しよう 57

日本医療コーディネーター協会 嵯峨﨑泰子

患者の要求から始まる医療コーディネート 58/まず今の状況を整理してみる 61/進行・再発がんの治療目的 62/病院を変わりたい時 64/余命3カ月と言われた男性の選択 65

4章 対談 良い病院を選ぶには?─「病院ランキング本」をランキングする 67

慈恵医大附属青戸病院副院長 吉田和彦 &医療ジャーナリスト 埴岡健一

最近人気の〈病院ランキング本〉の種類と内容 69/治療成績比較の根拠を問う 78/病院ランキング本から何が分かるのか? 88

5章 「がんのガイドライン」の正しい読み方 95

国立がんセンター東病院 向井博文

はじめに 96/わが国におけるガイドライン作成の動き 98/乳癌診療ガイドラインの作成手順 100/ガイドラインは医師の裁量権を制限するか? 102/ガイドラインがあればすぐに診療レベルは向上するか? 102/ガイドライン普及のための具体的計画 103/診療ガイドラインの体裁 104/ガイドラインの最終目標 105/医療訴訟とガイドライン 110/ガイドラインの改訂 110/患者向け診療ガイドライン 112

6章 対談 今、正しい抗がん剤治療を受けるには? 115

国立がんセンター東病院 向井博文 &慈恵医大附属青戸病院副院長 吉田和彦

正しい抗がん剤治療をしている医師は決して多くない! という現実 117/抗がん剤治療をする医師たちの現況とは? 120/ 抗がん剤治療の専門家制度のスタート 123/がんの抗がん剤治療の実際 125/分子標的薬、未承認薬、ジェネリック薬、臨床試験について 142

7章 賢いがん患者として手術を受けるには? 153

慈恵医大附属青戸病院副院長 吉田和彦

がんの手術を受ける際に、外科医に質問・確認すべきこと 154/主ながん手術の最新情報 160/がん治療に対する内視鏡手術の役割 166/現代の外科治療の特徴と傾向 168/手術のできと生存率は相関するの? 172/手術の危険度はどのように考えるの? 173/腫瘍外科医の役割とは? 174

8章 患者と変えるがん病院、がん医療─患者の視点をがん医療に 177

千葉県がんセンター長 竜 崇正

医療行為の第一歩。患者さんの立場にたったインフォームド・コンセント 178/カルテ開示は患者さんとの信頼関係構築の第一歩 179/患者さんに学ぶ、患者経験者の講演会 181/患者経験者によるがんよろず相談 182/患者さんとのスキー合宿、山歩き 183/患者図書室、患者交流室 184/おわりに 184

9章 対談 日米がん治療比較─アメリカに学ぶ点は? 187

慈恵医大附属青戸病院副院長 吉田和彦 &医療ジャーナリスト 埴岡健一

アメリカの医療保険制度と日本の皆保険制度 189/医療の質を高めるために何をすべきか? 194/「自律した患者像」と現実 205/日本の医療と市場原理のアメリカ 212/アメリカでは腫瘍内科医が7000人、日本は今年47人誕生! 218/がんのカウンセラー、患者ネットワーク 223

10章 座談会 進行するがんとのつきあい方─明日を信じて生きるために 227

絵門ゆう子 &乳がんの患者さん 小椋すみれ、田中美紀 &日本医療コーディネーター協会 嵯峨﨑泰子

それぞれの病歴と選択 230/再発転移でも諦めない! 時代 235/戦うための心構えと言葉 243

あとがきに代えて ■絵門ゆう子さんへの追悼■ 249



●著者紹介(五十音順)

◎絵門ゆう子

エッセイスト。1979年にNHKにアナウンサーとして入局、池田裕子の名で活躍。86年退職後は、フリーアナウンサーや女優として活動。2000年に乳がん告知を受け、その後、闘病体験を「がんと一緒にゆっくりと」「がんでも私は不思議に元気」などの著書にまとめたほか、コラム執筆や講演などの活動を行なう。さらに、がんの患者さんとその家族を対象にしたカウンセリング(厚生労働省認可、産業カウンセラー)や、小児の患者さんを励ます絵本「うさぎのユック」の刊行や朗読コンサートなど多彩な活動を続けてきた。2006年4月3日、永眠。

一言:(本文から)主治医や治療との巡り合いにはちょっと恋愛と共通するものを感じますね。それは、…自分から惚れる形で治療法を選んでいることです。それなら仮に最終的には死ぬとしても、一人ひとり、それなりに納得できるのではないでしょうか。

◎嵯峨﨑泰子

日本女子大卒。医師と患者さんの橋渡しをする、我が国初の医療コーディネーター。現在、日本医療コーディネーター協会会長、NPO法人がん患者団体支援機構副理事長。医療法人ユメイシ野崎クリニック副理事長。
専門:医療コーディネート、看護師。在宅医療

一言:あなたの思いが医療者に上手く伝わらないことで、後々後悔する方向に進むことを避けて欲しいのです。科学的根拠のある情報をもとに、ご自身の状態についてできるだけ正しく理解していただきたいと考えています。その上であなたの声、生き方、価値観を医療者に伝えて行けるよう信頼関係を構築できればと思います。どんなに困難だと思われることでも、できるようにするためにどうするかを、共に考えたいと思っています。私達は、本著をお手にされた貴方のお気持ちとそんなに離れてはいないと信じています。

◎埴岡健一

医療ジャーナリスト、医療改革コミュニケーター。東京大学医療政策人材養成講座特任助教授、日経メディカル編集委員、骨髄バンク(骨髄移植推進財団)元事務局長。家族が血液がん(白血病)になったことをきっかけに、経営ジャーナリストから医療の世界に転進。
連絡先:電子メール IZN01203@nifty.com

一言:医療はまだ不完全。地域格差、病院格差、医師格差などもあります。一人の患者からすれば、情報を持って闘うことがよりよい結果をもたらす可能性を高めます。全ての患者にとっては、医療の質に関する情報の開示を求めることが、全体の生存率やQOL(生活の質)を高める利益につながります。情報の整備と公開は個々の医師にとっても納得して働ける環境整備につながりますし、医療界全体としても医療の進歩を毎年国民に示すことができるようになります。情報を共有して患者と医師が相談しながら治療を決めることが普通になるといいと願っています。

◎向井博文

国立がんセンター東病院 化学療法科。厚生労働省科学研究分担研究者、日本乳癌学会診療ガイドライン作成委員。
専門:腫瘍内科学

一言:現在、がんに関する情報はふんだんにありますが、その質は玉石混淆で、何を信じてよいのか途方にくれてしまうほどです。これらの情報に振り回されて、それが主治医不信につながっているケースも見受けられます。しかしこれはとても不幸なことです。本来情報は正しく選択して活用すればとても有益なものだからです。そんな状況を避けるために本書があります。主治医をまず信頼し、疑問点が出てくれば本書を元に主治医と話し合いをしてください。医療の世界にも問題点は多々ありますが、それらは今どんどん改善される方向にあります。本書が悩みをお持ちのあなたにとって「希望の羅針盤」になることを願ってやみません。
外来:国立がんセンター東病院 化学療法科 新患‐月、水(要予約)、再来‐火、金(要予約)

◎吉田和彦

東京慈恵会医科大学外科助教授(附属青戸病院副院長・外科診療部長)
専門:腫瘍外科(消化器がん、乳腺がん、甲状腺がん)、内視鏡手術

一言:現代医学のキーワードは「科学的根拠にもとづく医学(EBM)」と「患者さん中心の医療(Patient Centered Medicine)」です。両者が尊重された時に、患者さんはがん治療において最大の利益が得られます。また、今までのパターナリズム(家父長制度)に代わって患者さん自身がより主体的にがん治療に取り組むことにより、納得した治療を受けることができます。残念ながら医学には限界があり、すべてのがんが治るわけではありません。患者さんもきちんと勉強して覚悟する必要があります。患者さんと医療者がお互い尊敬しあいながら情報、判断、責任を共有できれば、理想的なパートナーシップが成立します。
外来:慈恵医大外科─火・水・土曜、セカンドオピニオン外来─土曜(ナグモクリニック・予約制)

◎竜 崇正

千葉大医学部卒(昭和43年)。千葉県がんセンター長
専門:消化器がんの外科(特に肝胆膵がん)

一言:日本のがん医療は世界でも有数のレベルにあります。しかし必ずしも社会の評価が高くなく、残念に思っています。これは主として医師の説明不足と説明下手によるもの、全ての病気を治して欲しいという社会の医療への過度の期待とによるものだと思います。「標準治療を普通に受けること」これががんから身を護る原則です。不幸にして標準治療が受けられない状態であっても、あきらめないでご相談ください。一般病院では切除できないがんも、手術のやり方を工夫して、なんとかしています。またレベルの高い抗がん剤治療や放射線治療なども工夫して、その効果を科学的に実証しています。がんセンター長としては、患者さんの視点をがん医療に生かしながら、世界一の質の高いがん医療を提供するように、努力をしています。
外来:火、木 午前中

◎田中美紀(第10章/乳がんの患者さん)

現在東京在住。夫と2人暮らし。量を減らしながらも、今も仕事を続けている。

一言:「死ぬ」にはまだ全身の細胞が納得してくれていません。おそらく指先の細胞は命の危険にまだ気づいていないはず。膝っこぞうの細胞もそんな事になっていようとは夢にも思っていないでしょう。まだ諦められない!

◎小椋すみれ(第10章/乳がんの患者さん)

東京都神田生まれ。現在、熱海在住。最終学歴として81〜82年カナダの州立大学留学。帰国後、国内外での通訳案内業からイベントやツアー添乗を20余年勤める。これまで、公私で世界5大陸7海の隅々まで網羅し、この天職のおかげでコンコルドや豪華客船(世界最速&最高級!)の旅も体験。その他、美術・音楽・大自然・世界の祭り・グルメツアーも手がけ、ツアコン育成〜90年某国政府観光局勤務を経て、フリー通訳コーディネーターに。

一言:乳がん罹患後、仕事は激減するが、年一度でも海外に旅することが?心と命の洗濯?、私の生きがい療法と思い今年も春アンコールワット、秋に虹色のオーロラ鑑賞ツアーを企画実践予定。05年某がん医療保険会社の代理店資格取得。これまでの知識と経験を活かして私なりに一人でも多くのがん患者さんやその家族(遺族)を支援し、モットーは最後まで微笑みを失わず「おいしく・明るく」生き抜くことです。



●あとがきに代えて ■絵門ゆう子さんへの追悼■

 本書では、3人の乳がんの患者さんにご参加いただき、ご本人の闘病体験を通した、忌憚のない貴重なお話しを聞かせていただきました。

 皆様もよくご存じの絵門ゆう子さんとは、2005年秋ごろから本企画のご相談をさせていただきました。是非、多くのがんの患者さんのお役に立てる前向きな情報を入れた、力強い本をつくりたいわね、とおっしゃってくださり、どういう内容の座談会にするか打ち合わせを続けておりました。

 年末には、ひどいお風邪をひかれたこともあり、肝臓の具合も決してよくはありませんでしたが、お仕事場でもあった日本橋の居心地のよい明るいお部屋で、ソファーに横になったり起きたりしながら、2月3日(金)には10章の、そして3月1日(水)には1章の座談会をさせていただきました。今思い返せば、最後の座談会は亡くなる1カ月前のことになります。

 体調も万全ではなかったと思いますが、話は盛り上がり、笑い声をあげながら闊達な会話が続き、両方の座談会とも、2時間の予定をはるかにオーバーし、それぞれ4時間に及びました。本書では、ページ数の関係もあり、全部を掲載できなかったことが残念です。

 10章の、乳がんが再発されている患者さんたちとの座談会では、それぞれの治療とのシビアな格闘を話しながらも、ユーモアに満ち、常にしっかりと前を向き主体的な生活を送ろうとする点で3人は意気投合。最後は、互いにがんばりましょうと熱く握手をして再会を約束してのお開きとなりました。

 皆で本の完成を喜び合えるものとばかり思っておりましたが、絵門さんは4月3日急な容態の変化で聖路加国際病院に入り、残念ながらそのまま永眠されました。

 その後、パートナーの方とご相談もさせていただきましたが、常に前向きであった絵門さんが出したかった本でもあり、そのままのタイトルで出してください、とのありがたいお言葉をいただき、ここに、刊行させていただくことになりました。絵門さんが最期まで願っていらした、患者自身が生き抜くための智恵、実体験をふまえた提案などを読み取っていただければと思います。

2006年6月   編集部より

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