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フットボールと英語のはなし
Saturday in the Park

フットボールと英語のはなし

東本貢司 著

1,429円 四六 176頁 978-4-385-36104-8 (品切)

「なぜ、イギリスではなくイングランドなのか」「ピッチとフィールドとグラウンドの違いは?」最もグローバルな "世界言語" フットボールと英語の深層を注視して見えてきた“目からウロコ”のはなし。付録にフットボール英語表現集付き。

2002年7月25日 発行

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●著者紹介

東本貢司(ひがしもと こうじ)

1953年大阪府生まれ。英国サマセット州バースのパブリックスクール修了後、国際基督教大学教養学部英文学科卒業。広告代理店、専門学校講師を経て翻訳文筆活動へ。Jリーグ発足によりフットボールジャーナリズムに‘参戦’。専門誌を中心に寄稿多数。現在スカイパーフェクTV「プレミアリーグ」ほかコメンテイター。

〈著書〉『イングランド 母なる国のフットボール』(NHK出版)
〈共著〉『ワールドカップを100倍楽しむ方法』(NHK出版)
〈訳書〉『ベッカム すべては美しく勝つために』(PHP研究所)『フーリファン』(廣済堂出版)『南米蹴球紀行』(勁文社)『アレックス・ファーガソン 監督の日記』(NHK出版)ほか



●プロローグ Saturday in the Park

 奇妙なサブタイトルだと思われるかもしれない。『サタデイ・イン・ダ・パーク』。私と同世代もしくは古くからのポップミュージックファンなら、まず思い浮かべるのは《シカゴ》が70年代前半に飛ばした、印象的なピアノバッキングで始まるヒットチューンだろう。同ソングは、アメリカの独立記念日のとある長閑な情景と感慨を歌ったものだが、むろんここでは別の“シチュエイション”で取り上げている。本書の書名は『フットボールと英語のはなし』。とくればピンと来る方も少なくないと思う。

 長いシーズンの中で例外はもちろんあれど、フットボールの公式マッチは原則的に土曜日に開催される。したがって《サタデイ》。そしてその会場はといえば、日本では一般に《スタジアム》と呼んでいる場所、英語圏の国では総称的に《パーク》と表現される場所である。《パーク》は駐車場を《カー・パーク》というように、「パーク」とはある程度の広さを持つ平地の総称であり、特殊なコンテクスト、たとえばここでいうフットボールが絡むときには特別な場所を指す言葉になる。しかし、日本では「公園、広場」という和訳以上の認識をされることはほとんどない。

 つまり『サタデイ・イン・ダ・パーク』とは、文脈次第で単に「土曜日、公園にて」だけでは語りきれない英語表現の奥行きを象徴し、かつ、英語に親しむ格好の“道具”、あるいは“媒体”としてフットボールに着目した本書の主旨を凝縮したキーフレーズだと考えていただきたい。

 ちょっと待て。『サタデイ・イン・“ザ”・パーク』の間違いじゃないのか。いや、あえて“ダ”にしたのには私なりの理由がある。それも本書の一テーマに関連している。

 実はこのセンテンスにはさらにもういくつか、込められたメッセージがある。なぜ《サタデー》ではなく《サタデイ》なのか。もっと踏み込めば、私たちは Saturday を「サターデー」ではなく「サタデー」と“詰めて”読み(カナ表記)しながら、なぜ international

 を「インターナショナル」としてしまっているのか。そこには、外来語として取り入れる際の無理や不統一、日本流の換骨奪胎がまかり通っている事実と、それがために一般の日本人から英語のより自然な理解を妨げている一因があると思うのだ。

 英語は国際語だといわれる。2001年9月11日のニューヨーク、国際貿易センタービル破壊テロ事件に端を発した“報復戦争”がひと区切りつき、アフガニスタン再生への暫定指導者に指名されたハミド・カルザイ氏が来日した折りの声明スピーチをニュース番組で見た方も多いだろう。アフガニスタン国民を代表する彼の決意と訴えは、まさに完璧な英語で語られた。同集会の議長役を務めた緒方女史は別格として、日本をリードする政治家たちの中にカルザイ氏ほどの英語を操れる方がはたしてどれだけいるだろうか。いや、とうの昔に国際化云々といわれ続けているのに、義務教育レベルで最低6年間の英語教育が定着して何十年と経つのに、外国人から英語で「今、何時ですか?」と訊かれて右往左往してしまうのが、大多数の日本人の紛れもない実態ではないのか。

 たぶん、ある程度は英語を話せたらいいな、と思わない人はめったにいないと思う。一番手っ取り早いのは英語が公用語の国に相応の期間住みつくこと(むろん“引きこもり”ではだめ)だが、年齢的な理由や立場上、そうはできない人でも、これだけ英語主体の外来語がはびこっている時代に、基礎知識として身につけておく必要はかなり切実に感じているはずである。であれば、日常的に、趣味レベルでリラックスして親しんでいける“道具・媒体”を見つければ、その延長上で各々の発展性を見出していけるのではないか。そこで提案したい“道具・媒体”が、フットボールである。

 日本やアメリカではサッカーとしての方が通りがいいスポーツ、フットボールは一名“世界の公用語”ともいわれる。ルールがひときわシンプルなことと、そのせいもあってこのスポーツがほぼ全世界の国で国技レベルになっていて、圧倒的な競技人口を誇るからだということはご存知だと思う。日本人プレーヤーの話題やトトの導入も手伝って、関心を持つ人々の数は確実に、格段に増えた。2002年ワールドカップのホスト開催も韓国と共同で実現した。さらに、インターネットのフットボール情報ソースは圧倒的に英語が主体であり、試合の国際映像はほぼ例外なく英語で放送されている。何よりも、表向きに“用語”として使われている言葉や表現はほとんどが英語だからとっつきやすいはず。私自身の経験でも、フットボールを通して知らず知らず身についた英語のかんどころは数多い。その実例を可能な範囲で振り返り、この機会に整理・再考察することによって、フットボールの魅力と英語およびその背景文化の面白さ、妙を同期(シンクロナイズ)させようというのが、本書の試みである。

 合言葉は『サタデイ・イン・ダ・パーク』。はたしてどんな話の中身と展開になっていくのか。当の私自身、それが楽しくも不安でもあり、わくわくドキドキしながらワープロのキーをたたき始めている。



●目  次

パート1 国のはなし なぜ、イギリスではなくイングランドなのか

パート2 国籍のはなし 民族の誇りと二重国籍

パート3 名前のはなし 英語名の構造とファーストネームの変化

パート4 発音のはなし ヒアリングの功罪と表音・表記の断層

パート5 複数のはなし final と finals では大違い

パート6 冠詞のはなし a と the でこんなにも違う

パート7 用語のはなし 使い分けの間合いと和製英語の誤解

パート8 表現のはなし レンタルではなくローン

パート9 役割のはなし マネージャーと監督

パート10 乱暴なはなし フーリガニズムの真実

パート11 下世話なはなし ゴシップと報道の遊び文化

パート12 宗教のはなし 対立の究極図式

パート13 詩的なはなし フットボールの原点思想

パート14 劇的なはなし フットボールの原イメージ

エピローグ

あとがき

フットボール英語語彙集

著者紹介



●「週刊金曜日」2002.10.25

「週刊金曜日」




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