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  近世都市江戸の構造


近世都市江戸の構造

竹内 誠 編

6,600円 A5 372頁 978-4-385-35773-X (品切)

江戸は「諸国の掃溜」とさえ言われた天下の総城下町。今日の大都市の抱える諸矛盾は「江戸」において既に出現していた。第一部江戸の都市構造,第二部江戸の社会と文化,第三部江戸と周辺農村。41頁におよぶ詳細な研究文献付き。

1997年 7月10日 発行


●目  次

はしがき(竹内 誠)

第一部 江戸の都市構造

 米穀売買勝手令と「脇々米屋素人」(岩田浩太郎)

 墓標なき墓地の光景(西木浩一)
 ―都市下層民衆の死と埋葬をめぐって―

 江戸の行倒人対策(延 智子)
 ―天保八年四宿御救小屋設立をめぐって―

 大名藩邸と江戸の都市経済(市川寛明)
 ―津山藩江戸藩邸の事例を通して―

第二部 江戸の社会と文化

 江戸の庭園管理と園芸書(秋山伸一)
―植木屋の諸活動を通して―

 公家の江戸参向(田中暁龍)
―江戸の武家文化との一つの接点―

 人気作家山東京伝の商士(湯浅淑子)
―広告に見る京伝店のひとコマ―

第三部 江戸と周辺農村

享保期鷹場制度復活に関する一考察(大石 学)

享保改革期における「御場掛」の活動と植樹政策(太田尚宏)

大名下屋敷と地元百姓のかかわり(原田佳伸)
―岡山藩大崎屋敷出入りの先地主百姓の動向―

江戸火方役所と改革組合村(宮沢孝至)
―日光道中寄場粕壁宿における火附盗賊改組の職掌について―

明治初年、東京隣接直轄県政と惣代農民の経済的展開(藤野 敦)

あとがき

江戸関係主要研究文献目録


●『近世都市江戸の構造』

竹内 誠

 「火事と喧嘩は江戸の華」。喧嘩っぱやくて口が悪い。これが江戸気質の通り相場である。しかし、意外な一面もあった。

 紀州藩の家臣原田某が幕末に著わした江戸勤番中の見聞記『江戸自慢』によれば、

一 人気の荒々しきに似ず、道を問へば下賎の者たり共、己が業をやめ、教ること叮寧にして、言葉のやさしく恭敬する事感ずるに堪たり。

一 商人の慇懃にして恭敬なる事、若山(和歌山)とは雲泥の相違にて、一銭の買物にも三拝九拝し……。

一 大都会故に人の心は大様なるか、武士は慇懃にして凝り気なく、旗本など殊外温和にして、若山武士の如く屎力味なし。

とある。

 関東の空っ風、乾ききった殺風景な江戸とは、思いもつかぬ江戸人の、心豊かな人情味を、この和歌山人は指摘している。

 江戸の人に道を尋ねると、わざわざ仕事の手を休めてまでも親切に、言葉やさしく教えてくれるというのである。商人の腰の低さ、旗本たちの和歌山武士にくらべての温和さにも、いたく感心している。

 こうした江戸人の心のやさしさや、商人の誠実さの伝統は、現代の東京の下町に、それなりに生き続けており、実際に浅草や深川などで、しばしば似たような経験をするであろう。 

 ただし同じ武士同志、旗本に対しては誉め言葉のあとに、「去りながら……、口さき見付のみにて、思の外実はなく、あだ花に均しき人物多し」と、ぴしゃりと批判することを忘れていない。

 しかし江戸の女性に対しては、「色白く、首筋と足とは格別奇麗にて、これを自慢か、寒中も足袋を用ひず、いずれも男の如く外八文字故、尻小さく、真の柳腰にて」と、そのいきな姿にすっかりほれ込んでいる。

 こうした江戸人をはぐくんだ近世都市江戸の構造を,江戸市中のみならず、江戸と周辺農村との関係をも含めて、多角的に浮彫りにしたのが本書である。

自著自讃(「ぶっくれっと」1997.7 no.125より)

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