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  「読解力」とは何か
  PISA調査における「読解力」(リーティング・リテラシー)を核としたカリキュラムマネジメント


「読解力」とは何か

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校FYプロジェクト 編
(品切)

1,900円 B5 112頁 978-4-385-36254-0

これからの時代に求められる「読解力」の育成は、各教科・総合的な学習の時間など、学校全体の取り組みによって実現される。確かな学力につながるカリキュラムマネジメントと具体的な授業を提案する実践書。

2006年 3月15日 発行

Fy PROJECT(Fy プロジェクト)とは……

 “この指止まれ”感覚で教員有志がプロジェクト・チームを組み、研究推進と発表会の開催、出版活動などを行う附属横浜中学校独自の方式。小回りの利くこの体制は研究活動に柔軟性をもたらし、新たなテーマ設定による研究活動を次々に展開する推進力となっている。 FyとはFuzoku Yokohama(附属横浜) の頭文字をとった本校の愛称。生徒に望む姿として、このF、yの二文字に、F「柔軟性(flexibility)」とy「やる気」というキーワードをあてはめている。

はじめに 執筆者・プロジェクトメンバー 目次
「読解力」とは何か Part II 「読解力」とは何か Part III



●はじめに

 平成15年7月に実施されたOECD(経済協力開発機構)「生徒の学習到達度調査」PISA2003年の調査によって,「読解力(Reading Literacy)」の低下が問題になった。前回行われた2000年の調査では,32か国で約26万5,000人の15歳児が調査に参加し,2003年調査には,41か国・地域から約27万6,000人の15歳児が参加した。この調査における順位が2000年で8位であったものが,2003年では14位となり,そのことが学力低下論と相まって,「読解力」の低下問題として取り上げられるようになった。

 PISA調査では,「読解力」のほかにも,「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」「問題解決能力(2003調査から)」が行われているが,特に「読解力」の順位の低下が顕著であったため,「読解力」の向上に向けて,文部科学省も取り組んでいる。平成17年10月に文部科学省は「読解力向上に関する指導資料」を出している。

 上記のことと関連して,平成17年10月26日に中央教育審議会は,「新しい時代の義務教育を創造する」(中央教育審議会答申)を出した。この中で,「(2)教育内容の改善 イ 学習指導要領の見直し」の項目の中で,次のように述べている。

国語力はすべての教科の基本となるものであり,その充実を図ることが重要である。

 ここにおける国語力は,教科国語科でのみ育成するものではなく,学校教育すべての教科の基本として位置づけられている。また,文化庁は,平成16年2月3日に「これからの時代に求められる国語力について」(文化審議会答申)を出している。

 国語力の内容には,思考力,読解力,表現力が含まれており,学校教育においては,教科国語としてのみ扱うのではなく,すべての教科において扱われなければならないものである。この国語力の育成の中心的なものとして「読解力」がある。

 「読解力」に関するPISA調査で示している定義は,「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力。」としている。それは,これまで日本の学校教育,特に国語科を中心として行われてきた「読むこと」の意味で用いられてきた読解力とは,異なった定義である。

 この「読解力」は,これからの日本の教育において,学力の中心的な位置を担うものとなる。

 また,PISAが示した「リテラシー」という学力は,いわばこれからの先進諸国で必要となるグローバルスタンダードとしての学力でもある。それは,学力の基礎・基本としてこれまで定位してきた「読・書・算」というスキル的な要素を含んだ学力とは,異なるものともいえよう。

 この異なる学力に対する教師としての意識改革が今日求められている。それは,これまでの学校教育の中で,知識の習得として行われてきた学力でもないし,体験や経験をもとに活動を通して獲得してきた知識や技能でもない学力である。

 この「読解力」を整理して示すと,以下の三つの要素の総体ということができる。

   I  受信・受容        :   聞くこと,読むこと
   II  思考・判断・創造  :   考えること,思うこと
   III  発信・提示        :  話すこと,書くこと

 上記のI〜IIIの要素が互いに関わり合うことが,「読解力」の全体像となる。「読解力」は,I・II・IIIが切り離されているものではなく,総体として機能して,初めて「読解力」ということになる。

 学校教育における「読解力」は,上記の三つの要素の総体として学習が行われるだけではなく,それぞれの要素の特徴を学習することも重要であるために,各要素を分離して学習することもある。しかし,最終的には,この三つの要素が総体として学習者の学力として定位されなければ,読解力を身につけたとはいえない。

 したがって,学校教育において「読解力」を教育活動として学習者に身につけさせるには,指導する教師がこの三つの関係性を常に意識化して指導しなくてはならない。そこに,教師の指導力が問われている。

 横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校では,上記の「読解力」を生徒がいかに身につけることができる授業を行うか,ということをプロジェクト研究(プロジェクト研究とは,現代的課題に迅速に対応するために,校内の有志によって行われる研究のこと)として提案する。

 今始まったばかりの「読解力」についての提案であるので,試行錯誤の域は出ないかも知れないが,まずは提案し,様々な方面からの御批評,ご批判を頂きたいと考えている。

 最後になりましたが,本研究に際し文部科学省初等中等局の田中孝一視学官,田代直幸教科調査官,冨山哲也教科調査官,西辻正副教科調査官の先生方のご指導と,本著作にご寄稿を頂きましたことを厚く御礼申し上げます。

  平成17年12月

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校
      校長   髙木展郎



●執筆者・プロジェクトメンバー

[特別寄稿]

文部科学省初等中等教育局
田中孝一 視学官
田代直幸 教科調査官
冨山哲也 教科調査官
西辻正副 教科調査官

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校 メンバー
髙木展郎(校長)
若松義治(副校長,数学)
岩間正則(プロジェクトリーダー,国語)
黒尾 敏(国語)
高橋 励(国語)
三藤あさみ(社会)
大谷 一(数学)
五十嵐俊也(理科)
田中保樹(理科)
杉山利行(音楽)
三浦 匡(美術)
末岡洋一(保健体育)
鷲田千夏(保健体育)
朝比奈忍(技術・家庭)
西岡正江(技術・家庭)
平間貴志(英語)
杉浦千恵(英語)



●目  次

 はじめに  2

I 「読解力」について理解する   (7)

1 「読解力」をどうとらえていくか  8 ⇒ 見本ページ
 1 読解力をめぐる言説をどう受け止めるか
 2 読解力とはどのような力か
 3 国語科だけが役割を果たすのか
 4 「読解力向上プログラム」はなにを目指すか
2 PISAの問題を読み解く  12
 1 PISA調査における「読解力」問題の概要
 2 調査結果からみた課題のある問題の特徴
 3 問題分析からみた指導の改善の方向
3 学校全体で「読解力」の育成を図る  18
 1 読解力向上プログラムを参考に
 2 学校全体で「読解力」の育成を図るための手順
 3 学校全体の取組の評価
4 「読解力」の今後について考える  24
 1 PISA型「読解力」
 2 読解力・表現力の現状と課題
  3 国語力を向上させるカリキュラムづくり
 4 読解力・表現力の育成と支持的な環境づくり
 column(1) PISA型「読解力」に関するQ&A  30

II 「読解力」をもとにカリキュラムを構想する   (31)

1 カリキュラムマネジメントについて  32
 1 カリキュラムを各学校で創ることの意味
 2 カリキュラムマネジメントという考え方
 3 カリキュラムマネジメントがカリキュラムに果たす役割
 4 学習指導要領の改訂とカリキュラムマネジメント
2 「読解力」をもとに学校の全体構想を考える  38
 1「読解力」をもとに全体構想を考える
 2「読解力」を中心にしたカリキュラム開発の手順
 3 学校の全体構想を構築する
 4 今後の課題
 平成17年度 生徒像と学校教育目標に関する全体構造図  40

III 教科・総合で「読解力」を育成する   (41)

1 国語科における取り組み  42
  「少年の日の思い出」で登場人物の語りの意図を考える  44
  折り込みチラシを比較・分析する  45
  「書き換え」のために「新聞記事」を読む  46
  グラフを元に根拠を示して書く  47
  気になる広告やちらしを取り上げてスピーチする  48
  教科書一冊まるごと読み解く  49 ⇒ 見本ページ
2 社会科における取り組み  50 
  近江の国今堀「村のおきて」を考える  52
  藤原道長の栄華を考える  53
3 数学科における取り組み  54 ⇒ 見本ページ
  点が動くことに伴って変わる面積を式で表し式の表す意味を考える  57
  マッチ棒を並べた図形をつくることを通して式の意味を考える  58
  角度を求める問題を整理し一般化して考えを整理する  59
4 理科における取り組み  60 
  コンセプトマップ法による一枚ポートフォリオ評価  62
5 音楽科における取り組み  64 
  楽曲をより深く味わうことを通して,表現活動を工夫する  66
6 美術科における取り組み  68 
  手順を読み取りながら藤かごを編む  72 
  複数の異なる資料を参照しながら作品を鑑賞する  73
7 保健体育科における取り組み  74
 "「体つくり運動」領域と保健分野とのリンクから
 心身の健康や効果的な運動実践について考える"  78
 "「陸上競技」領域の走り幅跳び・走り高跳びを並列にとらえたり,
 比較して考える"  79 
8 技術・家庭科における取り組み  80
  製作品の構想に応じて材料を読む  82
  よりよい食生活をめざして要望書・提案書をつくり発信する  83
9 英語科における取り組み  84
  Unit2“A Visit at an International School”
                  日本についての意見を述べる86
  Talk Battle 〜英語で意見を戦わせる〜  87 ⇒ 見本ページ
10 選択教科における取り組み  88
  推論ゲーム 〜脳は錯覚する〜  90
  パズルを読み取り考える力を高める  91
11 総合的な学習(美術)における取り組み  92
  カタログを使って自動車のセールスをする  94
  ポートフォリオをもとにスライドショウを作成する  95
 column(2) コンセプトマップ法(Concept Mapping)  96
 column(3) 一枚ポートフォリオ評価  97

IV 資料 『読解力向上に関する指導資料』より   (99)

 あとがき  111
 プロジェクトメンバー紹介  (112)

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