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橋本治が
大辞林を使う

橋本治が 大辞林を使う

橋本 治 著 (カバーイラスト・石野点子、装丁・南神坊)

1,200円 新書変 232頁 978-4-385-36027-X (品切)

『大辞林』を愛用する橋本治氏の書下しエッセイ。辞書の規範性にこだわる現代の風潮に抗し、近代が標準化してしまった言葉の世界に、歴史をさかのぼる中で生きた解釈を注入する―『大辞林』との画期的な共同作業。

2001年10月20日 発行

 別役実の犯罪のことば解読事典 (品切)
 泉麻人のなつかしい言葉の辞典


●まえがき

 この本は、『大辞林』という辞書を使っている私にとって、「辞書というものがどういうものだったか」を語る本です。「私にとって、辞書というものはどのようなものであって、辞書というものをどのように使って来たか」です。

 私には、「辞書を読む」という習慣がありません。私にとって、辞書というのは「使うもの」で、複数の辞書を読み比べるという習慣もまたありません。「それをしてもあまり意味はない」ということを、経験上知っています。辞書は、自分の使いやすい辞書が一冊あればいいと思っています。長い間使っていれば、それが自分にとっての「使いやすい辞書」になる−−それだけのことだと思います。

「使いやすい辞書」なら長い間使っていられて、「自分に必要な辞書」となる。相性の悪い辞書なら、長い間使っていることが出来なくなる。ただそれだけのことだろうと思います。私にとって、『大辞林』はそういう辞書なので、他の辞書を使う気はありません。他の辞書を使ったら混乱するだけだと思っているので、他の辞書は使いません。ただそれだけの話です。別に「『大辞林』が一番いい辞書だ」と言う気もありません。私にとっては使いやすく、「これは自分のために作られた辞書か」と思うくらいのものです。

 私がなぜ『大辞林』という辞書を使うのかと言えば、理由は簡単です。編者が松村明先生だからです。私にとって、松村先生は「江戸語・東京語の権威」で、その先生が編者になっている辞書なら、自分にとってはうってつけであろうと思い、そして実際にうってつけでした。私が『大辞林』を使う理由は以上なのですが、きっとなんのことやら分からないでしょう。その先は本文の担当です――。


●目  次


 まえがき………1

第一章 辞書よりも前に、生きた言葉がある

 一 私の言葉がへんなわけ………12

江戸から立ち上がる言葉………12
日本語の反逆者………13
「子供の言葉」しかなかった………15
標準語の中で………16
子供の言葉、大人の言葉………18
「子供の言葉」を「大人の言葉」に育て上げる………20
「一つの正解」が出来上がる以前の言葉………23
古くても生きていた歌舞伎の言葉………25
東京弁と標準語は違う………27
鶴つる屋や南なん北ぼくとの出会い………30
南北言葉は、東西折衷の産物である………31

 二 話言葉を構築する………34

なぜ話言葉か………34
言葉はそれ自体で自己主張である………35
話言葉の必要………36
「崩す」と「作る」………38
言葉は伝う染つる………40
言葉は相互の関係の中で創り上げられる………43
それは「疎外感」かもしれない………45
「言葉の乱れ」は「社会情勢の変化」でもある………47
方言は土着した古い日本語である………49
日本語は常に検討が必要とされる………51
話言葉のお勉強………52
思索は苦闘で磨かれる………56
言葉は権力でもある………58 

三 外に出て行く言葉、出て行かない言葉………61

なぜ自分の話言葉を「作る」のか………61
モノローグとダイアローグ………63
モノローグしか持たない人間………66
モノローグで恋愛は成り立つか………68
ダイアローグの存在に気づけない人間………71
『桃尻娘』の続編を書いた理由………73

第二章 身体としての言葉

 一 ある欠落………80

自覚のないモノローグは反感を招く………80
問題は「話し方」である………82
モノローグは敬語を持たない………85
現代敬語の難しさ………88
敬語は「人との距離」をあらわす………90
「うざい」は敬語を待望する………92

 二 言葉をどうとらえるか………95

敬語を使う桃尻娘………95
尊敬とは無縁の尊敬語………96
「蜻蛉あきつ」のなにが問題なのさ?………99
「あきず」ってなに?………101
一番いい辞書は「使い慣れた辞書」である………103
なぜ「づ」を追放するんだ………105
濁音を清音にする日本人………108
『大辞林』では−−………111
「読むための辞書」と「使うための辞書」………115
『大辞林』を使う………117

 三 『大辞林』で『窯変源氏物語』を書く………120

『窯変源氏物語』を書く………120
「近代文学」と「古典」は、二つに分かれない………123
光源氏を取り巻く言葉………126
「てにをは」がおかしい………129
たった一つの劣等感コンプレックス………133
《。》がほとんどない文章………135
「へんしも早う」「おお、そうじゃ」………139
謎の『広辞苑』………143
ヘソ曲がりは、平気で話をややこしくする………146
『平家物語』の時代の濁音………149
語尾を清音にする日本人の語感………153
「素敵」ならいいじゃないか………155
「平安時代の言葉」と「明治時代の言葉」だけの辞書………158
文字は残って、忘れられる………162
人は声を出して言葉を発する………163 四 口から出る言葉………168
口が動かなければ言葉は出ない………168
「欲よくする」とは何事?………171
言葉は「表情」でもある………175
「音」だから口で書く………180

第三章 耳から入る言葉、目から入る言葉

 一 耳から入る言葉………184

なぜ辞書を引くの?………184
子供は「分からないこと」に困らない………185
子供は「音」にひっかかる………186
言葉はまず耳から入る………190
読めれば、分かったような気になる………194 

 二 分からないから辞書を引く………197

分からないから辞書を引く………197
分からないのは「単語の意味」だけか?………198
大きな辞書にしか納得しない高校生………202
英語は日本語ではない………204
言葉を知らなければ、辞書を引いても意味がない………208

 三 知っているから辞書を引く………212

文章を書くために辞書を引く………212
すべての言葉が辞書に載っているわけではない………216
「使え」と言う辞書………219
 むすび………223

「話言葉を書き留める」の問題点………223
話言葉を書き留めれば、「中途半端」になる………226

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