三省堂だより・後記
134号-143号
(JANUARY 1999〜JULY 2000)

124号-133号
144号-153号
 「ぶっくれっと」一覧


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141号  142号  143号

134号(JANUARY 1999) 134号目次

■十月末に発売した『エクシード英和辞典』『エクシード和英辞典』『エクシード英和・和英辞典』がおかげさまで大好評。小社の調査では、発売以来三週間で書店に配本した部数の五十%近くが売れている、という結果が出ました。この数字は秋発売の辞書の動きとしては、大変好調な数字です。

■愛読者カードも続々到着しています。『エクシード英和・和英辞典』の読者カードの集計結果をご紹介します。

 男女比では男性62%、女性が38%、年齢では二十代26%、三十代23%、四十代16%、十代14%と続きます。職業別では、会社員41%、大学生12%、高校生8%、公務員7%という順になりました。社会人と学生という分け方をしますと、社会人が78%、学生22%となります。また、全体の62%の方がパソコンを所有しています。

■内容上のご意見では「語数が多い」「語彙の選択が幅広く参考になる」「新語(企業名・コンピュータ関連など)が多い」「この判型で21万4000語はすばらしい」「デイリーの上級版といった感じ、語数が増えてたのもしい」など、圧倒的な収録数の多さが高く評価されています。

「見出し語と説明が明瞭でよい」「用例がわかりやすい」「語釈、用法も簡潔でよい」「今までになく見やすい」「文字の大きさが気にいった。二色刷もよい」「類書にくらべて格段に見やすい」など内容・紙面レイアウトも好評です。「語数・判型・厚みともポケット判では最良」「軽い、携帯に手頃・便利、持ちやすい、片手でもページがめくれ、持ち運びが苦にならない重さ」というご意見も多数いただいています。

 ケースデザイン・造本については、「ケースがシンプルでかっこいい」「表紙の色、感触も品が良くて心地よい」といった感想の中に女子高校生の「本屋さんでひと目ぼれしました」という声もありました。

■ポケット判英語辞書の先輩格『デイリーコンサイス』も引き続き好調。同じハンディ判で、高校生の学習と受験情報にしぼった『デイリーハイスクール英和辞典』も新登場です。


《後記》

前回休載した「ぶっくれっと名画座」、今号では黒澤作品についてお話いただきました。『野良犬』『生きる』など前期の名作が中心ですが(晩年の作品については次号になります)、そのころの品田先生は、黒澤作品はヘビーでいささか敬遠気味であったとのこと。ところで傑作『七人の侍』は公開当時のキネマ旬報のランクでは第三位、いまからみれば少々意外な感がいたします。

▼新連載「本棚探検隊」の筆者、内澤旬子さんは近刊『東方見便録』(小学館)でアジア・近東八ケ国のトイレを訪ね歩き描いた、若手のイラストレーターです。リンボウ先生の地下書庫を嚆矢として、これからどんな方の本棚が俎上にのぼりますやら。御期待ください。

▼「横顔美術館」の図版はいつもカラー写真をお借りするのに、その色を示せず残念に存じて居りましたが、今回ステンドグラスがテーマであり、何とか色を御覧いただきたいと、前号から次号にかけて三回、本号でふれたステンドグラスのうちいくつかを表紙にかかげます。横地先生自ら仏伊の教会へ足を運び撮した写真です。

(塩)


135号(MARCH 1999) 135号目次

■昨年四月からスタートした小社のホームページのアクセス数は毎月ほぼ1万5000件前後でしたが、年明けの一月のアクセス数が2万3000件にもはねあがりました。一月に一挙に増加した理由ははっきりしませんが、アクセス数が増えるのは大変うれしい傾向です。

 小社のホームページのメニューは、出版物の内容紹介、新刊・近刊情報を主に、小社の会社概要、関連会社の紹介、さらに三省堂書店のホームページや本の宅配サービスの「ブックサービス」のホームページとのリンクなど、多彩な情報を盛り込んでいます。主要な商品についてはもちろんカラー写真や見本ページ付き。一部前書き・後書きもご覧になれます。担当者が日々情報を更新していますので、図書目録や内容見本・チラシなどの印刷物より素早く最新の情報をご覧いただけるツールです。

 現在、中学国語教科書『現代の国語』の特別ページも準備中。ますます充実する小社のホームページをぜひご覧ください。アドレスは本誌裏表紙にも記載されています。

■今年四月の高校新入生への辞書の採用・推薦が続々決定しています。小社の辞書は引き続き『新明解国語辞典』が絶好調。あわせて新刊の『三省堂現代新国語辞典』も高い評価をいただいています。古語辞典も『全訳読解古語辞典』『全訳基本古語辞典』を中心にトップシェアを誇ります。英語では昨年新刊だった『ヴィスタ英和辞典』が引き続き好評。『新グローバル英和辞典』『ニューセンチュリー英和辞典』同『和英辞典』にあわせて、今年新刊の学習と受験情報に絞ったポケット判の『デイリーハイスクール英和辞典』も大変好評です。

■六月刊行予定で大型企画が二点進行しています。ひとつは『誹風柳多留全集[新装版]全十二巻+別巻索引篇』(セット価格本体一五万円)、もうひとつは中国迎賓館の釣魚台の書・花鳥画・扁額・七宝・家具などを集大成した『釣魚台國賓館漢詩・書道集錦』(予価本体二万八千五百円)。全国書店で予約受付を開始します。ご期待ください。


《後記》

山折哲雄『日本人の宗教意識』に忘れ難いエピソードが出て参ります。道元の「身心脱落」は「心塵脱落」の誤解ではなかったかとの説の紹介とともに、坐禅の姿勢が、日本の僧堂では不動の結跏趺坐であるのに対し、中国やチベットの僧院での勤行の姿勢は「じつに緩やかにくだけている。ゆったりとあぐらをかいている。……その出会いがしらの印象が、驚きでもあり新鮮でもあった」。そこから山折先生、「やはり、日本の禅の伝統はよほど特異なものであったというほかない」と結論づけます。

▼道元の誤解となると大問題ですが、文明の交流は必然に誤解をひき起す様です。明治の開国でも、西周などによるネオ漢語はともかく、それまでの漢語に西洋語の意味内容を盛り込んだときに、いかほどの正解を得たか。それでも「自然」=natureなどはかなりうまくいった例ではないか(どちらにも本性の意味がありますしと思って居りましたら、それが簡単にはゆかぬことを『一語の辞典 自然』で知りました。

(塩)


136号(MAY 1999) 136号目次

■ポケット判の限界を超えた、空前の収録数(「英和」12万、「和英」9万4000)の『エクシード英和辞典』『エクシード和英辞典』『エクシード英和・和英辞典』がおかげさまで大好評。さらにNTTドコモの新しい携帯電話「iモード」に搭載され、早くも多くの利用数を記録しています。「iモード」は、携帯電話を通じて銀行振り込みや、チケットの予約ができると同時に、辞書の情報をディスプレイに呼び出すことができます。搭載されている辞書は小社の『エクシード英和辞典』『エクシード和英辞典』と『デイリーコンサイス国語辞典』の三点。さらに有料情報として小社の『大辞林』『必携類語実用辞典』『ホトトギス新歳時記』の三点が用意されています。

■英語の見出しはもちろん、英訳文のすべてにカナ発音を付けた『カナ発音現代英和・和英辞典』。学習者はもちろん、あらためて英語を学びなおす一般社会人の要望に応えた、新機軸の辞典です。また、日本語を学ぶ外国人のために、日本語のすべてにローマ字を付け、日本語のアクセントまで表示した『外国人のためのローマ字英和・和英辞典』。さらに、ビジネスから社交まで幅広い日本語のキーワードから例文を引き出すことができる『キーワードで引く英文ビジネスレター事典』。ますます多様に広がるニーズに応える三点です。

■一般書では、白アリ駆除剤の危険性に警鐘を鳴らす『床下の毒物 白アリ駆除剤』、楽しい漫画入りで健康を考える『リウマチとプール療法』『子どもの誤飲・事故を防ぐ本』、革命四十年を迎えたキューバを鋭く見すえる『キューバ変貌』が新発売です。

■先号のこの欄で触れた小社のホームページへのアクセス数が、さらに増え続け、三月は一か月で3万2000にもなりました。3月19日からは中学国語教科書『現代の国語』の特別ページも開設しました。同じく先号のこの欄でお知らせした、六月刊行予定の大型企画のうち、『釣魚台國賓館漢詩・書道集錦』は九月刊行となりました。『誹風柳多留全集[新装版]全十二巻+別巻索引篇』は予定通り六月刊。予約受付中です。


《後記》

小学校でも英語教育とマスコミを賑せたのは三年前の夏、中教審の中間答申が出たときです。それがいざ指導要領の蓋が開いてみると、総合学習がまづあって、その中に国際理解教育があり、またその中に外国語会話があり、さらにその中で英語会話等ができるとのこと。ロシア人形のマトリョーシカみたいですが、どうしてこんなにややこしくなったか、文部省の新里調査官にお話を聞きました。

▼それにしても「国際理解」とすると何かプラス・イメージで受けとられ、外国人同士簡単に理解できるとする風潮がありはしませんか。研究開発校の公開授業をみるといつもそんな印象をもちます。神谷先生の連載第一回が「国際を疑う」であり、日本で「国際」がもてはやされる状況を批判されましたが、国際=国家間の理解はなかなか困難な筈。子供のうちはむしろしっかり言葉を覚え、その上で国際理解なるものを学んでも遅くはないのでは。ハンティントンの云うフォルト・ラインに出かけて行って命を落す悲劇を繰り返さないためにも。

(塩)


137号(JULY 1999) 137号目次

■四月に刊行した《みんなの健康》シリーズの『リウマチとプール療法』と『子どもの誤飲・事故(やけど・転落など)を防ぐ本』がおかげさまで大好評。新聞・雑誌などで大きく取り上げられています。いくつかの記事をご紹介します。『リウマチ〜』は「本書にはリウマチを克服するためのノウハウが、医師と患者の両方の立場から体験的に紹介されている。プール療法の意義とその方法についても詳しい。ほかに氷などを使って痛みをとる方法や、生活の中でできるリハビリ、一人でできる体操など、身近なアイデアも盛りだくさんだ。」(朝日新聞・4・30)。『子どもの〜』では「子どもの死亡原因の第一位は病気ではなく誤飲、やけど、転落などの不慮の事故。しかし対策といえば発生後の処置や治療に関心が集まり、抜本的な事故防止はおざなりにされがちだ。緑園こどもクリニック(横浜市)の山中龍宏院長は、事故が起きる状況を科学的に分析し、対策を示したマニュアル本を出版した。」という書き出しで大きな特集記事(産経新聞・5・4)が出ました。

■同じく四月に刊行した『床下の毒物 シロアリ防除剤』も大反響。「シロアリの防除剤による健康被害に注意して……。保谷市の市民団体が中心になって、シロアリ防除剤で健康被害を受けた家族たちの手記をまとめた本を出版した。(中略)市民団体は『シロアリの防除剤が危険だということを一般の人も、行政、防除業者も知ってほしい』と話している」という書き出しでこちらも大きな特集記事が出ました(朝日新聞・5・8)。

■『新明解国語辞典』の新聞・雑誌での引用も相変わらず数多くあります。5月1日の朝日新聞の夕刊で、本誌今号の本棚探険隊で書斎を拝見した南伸坊さんが「天然」ということばに関連して「生まれつき頭髪のちぢれているのを、天然パーマといったのである。これを略して天パーとも呼んだ。ところで「パー」とは、言動が常軌を逸脱し、正気の沙汰とは思われないこと。と『新明解国語辞典』にのっている。しかし果たしてイマドキの人は、この言葉知っているのかどうか?」と書いていました。


《後記》

2002年から公立小学校に導入される総合的な学習の時間についてもう一言。小さな問題ですが、総合とは「関係する幾つかのものを集めて、一つの統一体となるようにすること」(新明解)であって、四つか五つの分野(あるいは科目)のことを適当に取り上げる学習が「総合的」と呼べるかどうかです。しかも、その四つか五つのうちの下位項目(英会話)だけでもよしとする学習がどうして「総合的」なのか。この言語感覚、少々変ではありませんか>

▼新潟県入広瀬中学校とベルリンの中学校をテレビ会議システムで結び、共通語として英語を使って数学の授業をする、リアルタイム遠隔協同学習の実験が何回か試みられて居ります。こっちの方がよほど「総合」に相応しい学習であり、この様な授業のためにこの言葉はとっておきたいものです>

▼すでにお気づきの通り、前号から表紙が変りました。本文中の内澤旬子さんのイラスト「本棚探険隊」を一部、本文より拡大して掲げてあります。お楽しみいただければ幸です。

(塩)


138号(SEPTEMBER 1999) 138号目次

■本欄で二度ほどご紹介した『釣魚台國賓館漢詩・書道集錦』が、中華人民共和国建国五十周年に合わせて、いよいよ九月下旬に刊行されます。本書は北京釣魚台國賓館秘蔵の名品の中から厳選した百余点を収録した豪華本です。中国外交部の協力を得て、明・清から現代までの花鳥画・山水画・書・篇額・七宝などの名品を撮りおろしの写真で紹介。とくに書では、金代から現代まで、中国歴代の政治家・文人五十四名の詠んだ「釣魚台」詩百余首を掲載(本邦初紹介)。うち二十首は本人の書、二十余首は董寿平・啓功などの現代中国を代表する書家十八名の書で掲載しました。

 日・中・英の三か国語を併記した国際版。中国版は釣魚台を訪れる国賓にのみ進呈されるため、日本の読者以外でこの本を手にし、鑑賞できるのは、世界の元首・政府高官・名士だけです。本体28,500円。内容見本を用意していますので、宣伝部へお申し込みください。

■十月に刊行が予定されている『NTTデータベースシリーズ 日本語の語彙特性(PSYLEX)第I期(全9冊・CD-ROM4枚)』も大型企画です。本書は十分な項目数と単語・文字に関する各種の言語情報をそなえ、日本ではじめて学術的研究における実用に耐えうる信頼性をもつ、日本語の言語心理学的研究の基礎となるデータベースです。第I期は『新明解国語辞典 第四版』の見出し項目を基本とする八万余語について、単語とその中に現れる文字に関する各種の調査をまとめた八つのデータベースで構成。各データベースのすべてのデータを、アクセント評定に使用した音声ファイルも含めて公開しています。本体180,000円。第II期(全2冊・CD-ROM1枚)は朝日新聞の紙面に現れた単語および文字の頻度調査をまとめたデータベース。予価本体50,000円で12月刊行予定。内容見本を用意しています。

■小社ではこの秋、全国主要書店で「大辞林150万冊、新明国1,500万冊突破謝恩『だいじょうぶ? あなたの日本語』キャンペーン」を展開します。詳しくは次号のこの欄でご紹介します。


《後記》

フランケンハイマー監督、デ・ニーロ主演RONNINの題はつまり「浪人」のことで、ここではとくに赤穂浪士のことを指すと映画の中で語られます。ところがその浪士の説明に、三年の雌伏の後に本懐を遂げたとか、仇討ちの後仕官の口があったに拘らず即日切腹したとか、妙な話が出て参ります。そして、登場人物の一人が応接間に飾る四十七士のミニチュアの人形の中には弁慶(らしきもの)あれば義経あり、城郭も江戸よりは戦国風(黒澤映画の影響か)です。

▼アルゼンチンの作家ボルヘスの『汚辱の世界史』にもびっくりする様な忠臣蔵の紹介があり、内匠頭は綫毛氈を敷いた赤穂城本丸の中庭で「宝石をちりばめた黄金の小刀」で切腹し、「白髪の細心な男が、白刃一閃、頭を切り落とした――介護人、家老の大石内蔵助である」と。これは国際誤解と申しますか、国際理解教育流行の折から、あるいは同様のことをして他国の人の顔をしかめさせることのなき様、わがふりの見直しも必要かもしれません。

(塩)


139号(NOVEMBER 1999) 139号目次

■この秋、辞書の新刊が目白押しです。本号でもご紹介した、『グランドセンチュリー英和辞典』と『グランドセンチュリー和英辞典』。これまでの「ニューセンチュリー」から進化し、まったく新しいコンセプトのもとに二点同時刊行です。漢和辞典として初めて全用例に返り点と現代語訳を付けたほか、学習と日常生活に役立つ数々の新機軸を盛り込んだ『全訳漢辞海』。四万一千語を収録し、最重要用例には現代語訳を付し、徹底した学習指向の最上級古語の『三省堂詳説古語辞典』。いずれも新登場の新刊です。また、全用例に現代語訳を付けた学習基本古語として好評の『三省堂全訳基本古語辞典』も、教科書に合わせて全面改訂された(第二版)が新発売です。

■10月1日から全国主要書店で「だいじょうぶ? あなたの日本語―三省堂日本語辞書フェア」を開催中です。『大辞林』『新明解国語辞典』を中心に選りすぐりの日本語関係辞書を店頭に展開し、無料配布の小冊子で「日本語クイズ」と「だいじょうぶでなかった 私の日本語エッセイ」募集を行っています。本キャンペーンにあたり、150万冊突破を謝恩して『大辞林』は新装版を発売し、価格も通常税込み7,300円のところを五月末までに限って、税込み6,300円で提供しています。また、『新明解国語辞典』特装版(白箱)では平山郁夫画伯の作品入りのケースを新登場させました。ぜひ店頭でご覧ください。

■98年10月から99年5月末日までの期間で募集した「私の辞書活用法エッセイ」には小学生から八十歳代の方まで幅広い年齢層の皆さんから804編ものご応募をいただきました。優秀作十編を選び、前項の「日本語キャンペーン」実施の書店店頭で配布している小社の「辞書カタログ」の冒頭に掲載させていただきました。優秀作に選ばれた方は京都府・草間容子、宮崎県・越谷美貴恵、神奈川県・小林和彦、東京都・上紀男、東京都・高階千絵、大分県・田中美世、山口県・長尾幸子、香川県・藤沢亜美、宮崎県・山口千恵、大阪府・山本由美子(五十音順)の皆さん。小社のホームページでも紹介する予定です。


《後記》

ここ何回か国際理解教育について書いてきましたら、英語教育に「国際理解」は不要との説が現れました。鈴木孝夫『日本人はなぜ英語ができないか』で、外国の事情を学ぶのは日本語でできるのであり、「生徒一人一人が、ただでさえ限られた英語の時間に、苦労して英語を学ぶかたわら、諸外国の文化や社会の事情を、それもほんのわずかだけ勉強してみても、国際理解など殆ど深まりません」と、いつもながらの明快な切れ味鋭い論理です。

▼「国際理解」は難事業であり、英語教育から外した方がすっきりすることは、これから導入されようとする公立小学校の、研究開発指定校からも報告されて居ります(松川禮子『小学校に英語がやってきた!』)

▼「狼は草に依存する仔羊に依存している。草は狼によって、相対的に防衛されている」とはヴァレリーの卓抜な比喩ですが、まあそこまで要求する野暮は申しませんが、それにしてもはやりの国際理解は表面的にすぎやしないかと、鈴木先生の論とは離れて危惧するところです。

(塩)


140号(JANUARY 2000) 140号目次

■2000年を迎えました。今年もことばを見つづけ、質の高い出版物で読者の皆様のニーズにお応えしてまいります。よろしくお願い申し上げます。

 昨年から「ミレニアム」「Y2K」といったことばがマスコミに氾濫しました。新発売の『グランドセンチュリー英和辞典』をみるとmillenium((1)千年間(2)至福千年【キリストが再臨して地上を統治するという千年:聖書から】(3)【特に遠い未来の】理想の時代)とありました。またmillenium bug[problem]は(【コンピュータ】2000年問題【年号を下二けたで識別している多くのコンピュータが、2000年1月1日以降誤作動すると予想されること。the Year 2000 Problem、また略してY2Kともいう)とていねいに説明されています。Y2Kは=millenium bug【year two killo】です。

■前号本欄でもご紹介した『グランドセンチュリー英和辞典』『グランドセンチュリー和英辞典』『全訳漢辞海』『三省堂詳説古語辞典』『三省堂全訳基本古語辞典 第二版』が、早くも高校の先生方から大好評をいただいています。従来からも大変高い評価をいただいている『新明解国語辞典』『三省堂全訳読解古語辞典』と合わせて最強の学習辞典が勢揃いしたと自負しています。さらに『全訳漢辞海』は発売前から出版社仲間の会合でもしばしば話題にされ、学習はもちろんビジネスに、日常生活にも最適の新機軸の漢和辞典として注目されています。

■二月には『時代別国語大辞典 室町時代編の四(つ〜ふ)が刊行されます。ひきつづき十二月には五(へ〜ん)が出て、室町時代編が完結します。

 時代別国語大辞典は1942年に編纂が開始され、一九六七年に「上代編(全一巻)」が、1985年に「室町時代編一」が刊行されました。編纂開始から実に半世紀をかけて「上代編」、「室町時代編」が完結する、まさに我が国国語辞典の金字塔、20世紀の叡智の総決算です。内容見本を用意していますので、宣伝部あてにご請求ください。


《後記》

さあ、お立合、近くば寄ってお読みあれ、ガンヒルの決斗ではない、ホテルヒルトップの対談であります。片やカディスに輝く赤い星、テンガロン・ハットも粋に颯爽と現れたゴー・オーサカ氏、こなた『シェーン』のジャック・パランスか『ワーロック』のヘンリー・フォンダと見紛う黒づくめ、御存じ、馬車が買いたいカシマ氏。飛び交う言葉は雨あられ、パリに始りスペインへ、話題はブルボン王朝か、いや古本は神保町、以前をいやあ東京でたった一つの中華街、おススメ料理のあれこれと、話はつきず西部劇、ギャング映画に戦争映画、ドラキュラ、B級ホラーあり、果ては下って新東宝。さてお立合、ビデオなんぞのない時代、映画を追って二番館、訪ね歩いて三番館、渋谷、新宿、池袋、東奔西走、横浜から浅草へ、上野、大塚、飯田橋、恵比寿、小岩の場末まで通った日々が懐かしい。この対談、三号にわたって(次号から映画の話が中心です)掲載いたします。お楽しみください。

▼また新しい年となりました。本年もどうぞよろしく。

(塩)


141号(MARCH 2000) 141号目次

■先日東京でもめずらしく雪がふりました。本誌がお手元に届くころは、寒気もゆるむでしょうか。三月は卒業と新しいスタートへの準備の季節。いま小社の最寄り駅水道橋では受験生らしい若者の姿が目立ちます。

■新しいスタートの準備へ、小社では今年も辞書のフルラインを準備しています。再三本欄でも紹介している『グランドセンチュリー英和辞典』『グランドセンチュリー和英辞典』、『三省堂詳説古語辞典』、本号《自著自讃》に登場した『全訳漢辞海』と『三省堂全訳基本古語辞典 第二版』の五点の新刊が大好評。従来から定評ある『新明解国語辞典』『三省堂全訳読解古語辞典』とあわせて、最強の学習辞書のラインナップと自負しています。

■四月・五月にかけて大型企画が相次いで刊行されます。四月下旬には『20世紀世界紛争事典』。1900年〜1997年までのあらゆる紛争・事件1万1000件を集めた、初の紛争データベース。五月下旬には『三省堂現代短歌大事典』。歌人とその代表歌・歌詞・歌論・結社・短歌用語など現代短歌に関する事項を網羅的に解説した初の短歌大事典。いずれも内容見本を用意しましたので、宣伝部へお申し込みください。

■先天性四肢障害児父母の会編の『これがぼくらの五体満足』が大好評。早くも七刷になりました。NHKテレビで取り上げられたほかマスコミに続々紹介されています。ごく最近では2月12日読売新聞の、「医療ルネッサンス」欄で大きく取り上げられました。小社のホームページでは続々届く読者カードの一部を紹介しています。

■ホームページへのアクセスが月6万件を越えました。これまで小社のホームページでは直接メールによって本のご注文ができる欄を設けてありませんでした。アクセスの急増と、社会のメール販売の進展にあわせ、小社のホームページでも近々メールによる受注欄を開設し、宅急便による代金引き換えかクレジットカードによる決済を選べるようにする予定です。お近くに書店がないなどご不便な読者の皆様には便利になると思います。四月中には開設予定です。


《後記》

本号名画座の『カサブランカ』はこの百年のアメリカ映画四万本の中からAFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)が選んだベスト100のうち、第二位にランクされて居ります(ちなみに一位は『市民ケーン』)。渋いハンフリー・ボガート、映画の中では43歳です(にしては随分ふけて見えます)が、実年齢で46歳、対するにバーグマン28歳。『真昼の決斗』のクーパー51歳、グレース・ケリー23歳、『パリの恋人』ではF・アステア57歳、オードリー・ヘップバーン28歳、ほとんど親子です。かつては、なんであんなおじさんと、と思ったものですが、おじさんになってみると、なんであんな若い子が、といぶかしくも羨望を覚えるのみ。そんな話をしましたら、品田先生曰く、「スターは年をとらないんですね」

▼本号より連載で山口仲美先生の「日本語草子」が始ります。また巻頭のリンボウ先生と神谷先生の「回顧と展望・国際政治の半世紀」は本号をもって最終回となります。長い間のご愛読、あり難うございました。

(塩)


142号(MAY 2000) 142号目次

■昨年秋に展開した大辞林150万冊、新明国1500万冊突破記念「日本語辞書キャンペーン」の一環で実施した、「大辞林シークワーズクイズ」に、全国から大変多数のご応募をいただきました。ありがとうございました。過日厳正な抽選を行い、当選の皆様に一万円の図書券をお送りしました。

 同キャンペーンの中で、「だいじょうぶでなかった、私の日本語」エッセイも募集しています。ご自身や身の回りの方が体験した、日本語や文字にまつわる冷や汗をかいた事例を八百字以内にまとめて、小社宣伝部宛にお送りいただいています。五月末日が締め切りですので、ふるってご応募ください。

■小社では『現代短歌大事典』の刊行を記念して、《小・中・高校生の短歌大募集》を実施することにしました。募集要項は次の通りです。読者の皆様の周囲の小・中・高校生にぜひご紹介ください。

(1)題材=自由。小・中・高校生の日常生活の中の情景や心の動きが鮮やかに表現されている作品を期待します。
(2)応募方法=ハガキに短歌一首、氏名、住所、学校名、学年を明記のうえ、左記までお送りください。一人何首でも応募できますが、ハガキ一枚には一首のみお書きください。
(3)宛先=〒101-8371
三省堂宣伝部 短歌係
(4)締切=2000年9月末日
(当日消印有効)
(5)選考=『現代短歌大事典』の編集委員による選考で、小・中・高校生それぞれの部ごとに最優秀作(10首程度)、優秀作(20首程度)を選考します。
(6)発表=入選者には小社より直接お知らせし、あわせて小社ホームページ、PR誌「ぶっくれっと」でも発表します。
(7)賞品=最優秀賞 1万円の図書券+『大辞林』/優秀賞 小社国語辞典
(優秀作品を小冊等に収録する場合の著作権は小社に属します。)


《後記》

本号から巻頭言は米原万里さんに替ります。ロシア語同時通訳でつとに有名な方ですし、名エッセイストでもあり、何よりかのエリツィンをへこませた、女にしておくのは惜しい方(セクハラ、ですか。そんなにほめられると嬉しくなります)です。どんな話題がつづきますか、お楽しみに。

▼次いで、入江隆則氏の「昭和の暮方」は戦後四十年ほどの日本の精神状況をパーソナルな面から論じてみようとするもの。かつて『敗者の戦後』でナポレオン戦争後の仏、第一次大戦後の独との比較により、わが「戦後」の意味を問うた入江先生です。前号までの神谷先生「国際政治の半世紀」の国内版になりますか。あるいは文壇・論壇交友記としてもお楽しみいただけるかと。しばらくの連載です、御期待下さい。

▼倉田先生の「ナポレオン」は本号をもって最終回となります。三八回とは、年六冊の本誌では足掛け七年、ナポレオン毒殺説や死体擦替説、敵対したネルソン提督やシドニー・スミスのエピソードなど盛り沢山の「ミステール」でした。いづれ単行本の形でお目見えいたします。こちらも乞御期待。

(塩)


143号(JULY 2000) 143号目次

■小社の『デイリーコンサイス』『エクシード』をはじめとするポケット判の英和・和英辞典は、学習辞書とくらべ新学期に集中するだけでなく、年間を通じてご購入いただいている辞書です。それでもやはり三・四月が大きなピーク。そしてもうひとつのピークが七月。海外旅行の必携品になっているためと思われます。圧倒的な語数を誇る『エクシード』、刊行以来1000万人以上に愛用され、見やすさに定評ある『デイリーコンサイス』はポケット判英語辞典のトップセラーです。また、昨年刊行した『デイリーコンサイス中日・日中辞典』も大好評。七月上旬には待望の『デイリーコンサイス独和・和独辞典』が新発売です。ご期待ください。

■今号の自著自讃に登場した『現代短歌大事典』が六月初旬に刊行されて以来大反響です。六月四日の朝日新聞広告で内容見本送呈とお知らせしたところ、翌日から電話とハガキで多数のお申し込みをいただきました。電話でのお申し込みをうかがっていますと、年齢層が若い方からご年配の方まで様々。短歌人口の幅広さを実感させられます。

■141号の「三省堂だより」でもお知らせしましたが、小社のホームページへの一か月のアクセス数が6万件を超え、さらに増加傾向にあります。これまで小社のホームページでは読者の皆様から直接ご注文をいただく欄を設けず、本の宅配便の「ブックサービス」のご紹介にとどめていましたが、五月中旬にメールによる受注欄を開設し、宅配便の代金引き換えか、クレジットカードによる決済のどちらかを選べるシステムを立ちあげました。お近くに書店がないなど、ご不便な読者の皆様には便利にご利用いただけるものと思います。ただし小社のホームページ上の受注は、三省堂書店のそれとは異なり、小社発行の出版物のみの取り扱いで、他出版社の出版物のご注文は受けられませんのでご注意ください。

■前号(142号)の表紙の特集タイトルに誤りがありました。『20世紀世界争事典』でなく、『20世紀世界紛争事典』です。お詫びして訂正いたします。


《後記》

本号より日本語をテーマにした連載対談が始ります。小社から『例解新漢和辞典』をお出しになり、またいくつかの国語辞典を編集して居られる山田俊雄先生と、ジョイスの翻訳および言葉に関する多数の著書をお持ちの柳瀬尚紀先生、お二人はかつて成城大学教授として同僚でいらっしゃった時期もあり、和やかなお話合になりました。

▼その山田先生の『詞苑間歩』(小社刊)には次の様な文章があります。「当世の漢字制限は、必ずしも將來に向つて悪いことではない。しかし、露伴の如き人への親炙は全く期待できない事態を將來した。私は、露伴の研究者の出でざるを歎くよりも、それより前に、過去をすべて不可解の世界として無視する世代の風潮をおそれる」「いつの世でも、ことばは共通のものであるから、社會の中に自然に湧いて來る滓のやうなものも少なからずあらう。……それを絶對に存在せしめまいと努力するのは、いささか無駄骨といふに似てゐる。滓は沈殿せしめて、立ち上らないやうに、そつと靜めておくのが上策である」――この小欄を埋めても紹介したい文章,まだ沢山あります。

(塩)


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